第十六稿その2
ところでレタス村では、野菜も家畜もそこまで豊富じゃないから食事代は高い。
そして私たちはお金を相変わらず持っていない。
どうやって食事にありつくかって?
私の得意な交渉術よ!
「あ、あの~ですね…」
「勇者が食い逃げ?」
店主がすごむ。
「い、いや。食い逃げとかじゃなくてですね…その…お金を持っていないことを忘れてたと言いますか…」
「そんな言い訳が通ると思ってる?」
言い訳じゃないんだよ。ほんとなんだよ。
だって私はJK。自宅警備員だよ?お金はないけどなくても心配ないような生活なんだよね。
外食なんてしないし。
つまり普段の私の社会性の無さが今ここで大きなダメージを受けたことになる。
こりゃちょっとは社会勉強をしないと、ラノベすら書けないかもね…
よく考えたら前回転移した時もお金の管理はカラアゲさんやナポリタンだったな。私はお店では好きな物を注文して食べるだけ。
野営の時もナポリタンが狩りで捕って来た獲物が調理されるのを待つだけ。
サラダ村でも勇者だからという理由で、勝手に料理が出てきたし…
よく考えたら私って、すっごく恥ずかしいことを今までしてたのでは?
「ごめんなさい!」
素直に謝る。
「本当に、お金がないのを忘れてて、でもお腹が空いてまして。その…どうすればいいですか?」
「なぁあんたら勇者で、しかもフェアリーとバンパイアを味方につけてるならよ。バンパイアのパクチーって奴を知ってるだろ?」
パクチー君?これから会いに行こうと思っているけど?
そう思いながら私は顔を上げた。
あれ?どうも許してもらえる感じではなさそう…
「あいつも食い逃げしたんだわ。ここに連れてきてくれよ。そしたらあんたらの分はチャラにしてやるからよ。」
えぇ。とゆーかパクチー君、この村によく来るの?
私がルッコラ君を見ると、すまなそうな顔をされた。
その可愛らしい表情ズルいよ。
とりあえず私たちは、パクチー君を探して連れてくるという名目で無銭飲食の責任を何とか逃れた。
「これからは、お金の稼ぎ方も考えないとね。」
「なぜ人間はお金なんて必要なのかしら?」
私の言葉にバジルちゃんが訝しむ。
「だって、物を買うのにお金がかかるでしょ?」
しかしどうやら私のこの感覚は、フェアリーにもバンパイアにも全く共感を得られなかった。
バジルちゃん、ルッコラ君、クレソンちゃんの3人(匹)が同時に、そうなの?と首を捻った。
「ま、まぁとにかくさ。パクチーの元に行こうよ。」
こうして私たちはルッコラ君案内の元、パクチー君がいるという場所に向かった。




