第十五稿その4
まず1つ目の質問は難しく考えなくていいか。
でも少しは絞りたいし…
「この葉っぱの数字は3よりも大きい?それとも小さい?」
真ん中の葉っぱを指差して私が1つ目の質問をする。
「さぁね。」
プイっ。とクレソンちゃんがそっぽ向く。
あれぇ?
バジルちゃんが向こうからあからさまなため息をついた。
「あんたねぇ。誰も質問にきちんと答えてくれるなんて言ってないでしょ?」
あ…そうか…
「でもかわいそうだから答えてあげる。この葉っぱは3よりも大きいよ。」
真ん中の葉っぱを指さしながらクレソンちゃんが微笑む。
なんか舐められてるなぁー。
核心を突くような質問をして、相手の表情を読むことが必要ってことか…
「この葉っぱは4?」
再び真ん中を指さして私が質問をする。
じ~っとクレソンちゃんの表情を見る。
「いいえ?」
にこりと微笑まれた。
む。可愛い。
とはいえこの表情を見ても本当なのか嘘なのか見分けがつかない…
というよりも…私は今まで、あまり人と接してこなかったから表情を読むというのが苦手なんだ。
次はいよいよ最後の質問か…どうしたものか…
「この葉っぱは1?」
真ん中の葉っぱをまた指さして私が聞く。
「…いいえ?」
ちょっと間があった。
真ん中は3よりも大きいって言ってたのにも関わらず、私が質問したからかな?
これでクレソンちゃんもポーカーフェイスじゃないことが分かった。
つまり、真ん中の葉っぱは本当に4じゃないってこと。そして3よりも大きいんだから5で確定だね!
真ん中の葉っぱに1をぶつける。
「勝負!」
「凄いね。咄嗟にあんな質問が思いつくなんて。ちょっと見くびってたよ。」
見事真ん中の葉っぱは5だった。1は唯一5に勝てるから私の勝ち。
「これで私の1勝だね。クレソンいいの?まだ私が攻撃しても。」
「大丈夫だよ~。パセリちゃんじゃクレソンに絶対勝てないも~ん。」
可愛い顔で何てことを言うのよ!
とはいえ、真ん中の葉っぱに全ての質問を使ってしまったから後はもう運ゲーなんだよね…
でもよく考えたらまだ私の勝ちの目が残ってる。
だって向こうの最強の5が消えたってことは私の4と勝負すれば、最低でも引き分けだしね。
「ここにこれで勝負。」
一番左端同士を勝負させる。
私のは4。クレソンちゃんのは2。
一番悪い展開だね。ここで1を引けてれば次に私が5をぶつけて私の勝ちだったのに…
どうせ勝つならできれば大きな数字に勝つ方が勝率も上がるんだけどね。
「2勝おめでとう。」
クレソンちゃんが不敵な微笑みを浮かべる。
えーっと…クレソンちゃんの残りは1、3、4。私の残りが2、3、5。
私が勝つには5で1以外に勝負するか3か2で1を狙い撃ち…
3で3に勝負をしてしまった場合引き分けの可能性もあるわけだ…
逆にクレソンちゃんが勝つためには、1で5を狙い撃ちにする必要性がある。
ってことは、私は確率が一番高い5で勝負をするのが一番いいんじゃない?
「そうと決まればこれで勝負よ!」
私は残った3枚の内の左側を手に持つ。
「ふーん。5で勝負しにくるんだ?」
相変わらずの不敵な笑みを浮かべるクレソンちゃん。
真ん中の葉っぱに勝負を仕掛ける!
…
「ざんね~ん!」
えぇー!3分の2の確率を外した?
まさかの真ん中の葉っぱは1…
バジルちゃんが背後で、おバカって言ってるけど運ゲーなんだからしょうがない。
これで攻守交替か。
あれ?私の残りは2と3。クレソンちゃんは3と4…
4で攻撃されたら私の勝ちはなくなるんじゃ?
にやりとクレソンちゃんが笑う。
「じゃあ質問させてもらおうかな?」
う。まずい。ポーカーフェイスを貫き通さないと…
「パセリちゃんの好きなタイプは?」
はい?
「何を言ってるの?」
よくわからず聞き返してしまった。
「ん?好きな人のタイプだよ?どんな人がタイプ?」
「そんなのこの勝負に関係ないじゃない。」
あわあわしながら私が言うと、ふふふ。と笑われてしまった。
バカにされた?
「最初に言ったよね?質問は何でもいいって。」
…確かに言った。でも、だからってこんな全く関係ない話をする?
ただでさえ私はこういうコイバナに免疫とかないんだから!
「で、こっちが2?」
右側の葉っぱを指して更に質問をしてくる。
う。まさにその通りだ。
「ち、違うけど?」
にこりと笑われた。絶対にバレた…
「こっちでこれに勝負~。」
左側の葉っぱで私の右の葉っぱに勝負を仕掛けてきた。
結果は私が2でクレソンちゃんが3。
残りは私が3でクレソンちゃんが4…
「負けた…」
そう呟くと、そんなことないよ。とクレソンちゃんが声をかけてきた。
「え?」
クレソンちゃんが微笑んでいる。
「あんたばかぁ?」
バジルちゃんのいつもの口癖がちょっと遠くから飛んできた。
「え?なに??どういうこと?」
「ごめんねパセリちゃん。」
私が戸惑っていると、クレソンちゃんが突然謝ってきた。
もう訳が分からない。
「ちょっとクレソン?ごめんってどういうこと?」
私がクレソンちゃんの両肩を掴むと、背後からはぁ。という声が聞こえた。
おおきなため息をついた後に、バジルちゃんがクレソンちゃんの代わりに私の背中越しに説明してくれた。
「いい?私たちフェアリーは妖精魔法が使えるの。で、この葉っぱは妖精魔法で出したものでしょ?」
うん。そうだね。さっきクレソンちゃんが出してくれたやつ。
「分かんないの?ちょっとこっち向きなさいよ!」
私はクレソンちゃんの肩を掴んだまま固まっていた。
そのためバジルちゃんには背中を向けたままでいる。それが気に食わないのか、バジルちゃんがキーッと怒った。
「痛いよ痛いよぉー。うぇーん。」
怒りながらもルッコラ君の耳を引っ張ることを止めないのが、いかにもバジルちゃんらしい。
「ごめん。ちゃんと説明してくれる?」
バジルちゃんに向き直る。
「葉っぱに書かれてる数字を意のままに操れるし何が書いてあるのかも分かるのよ。」
やれやれ。と首を左右に振られてしまった。
あ…そっか。
「ってえ?待って。それじゃあイカサマじゃん!ズルじゃん!」
「だからごめんって謝ったんだよ?」
クレソンちゃんが後ろから声をかける。
いや。謝ればいいってものじゃないでしょ?勝負は無効だよね?
「あのねぇ。そもそもクレソンは私たちに協力するつもりだったの。でも一応あんたの実力を試したくて勝負を仕掛けたの。そんなのも分からないの?」
バジルちゃんが呆れたように言うけど、分からないから。
「そもそもこのゲームは、妖精魔法の強さを競うゲームだから~。」
またまたのんびりとした言い方に戻ってクレソンちゃんが言う。
つまりは、数字をお互いに書き換えてどっちが妖精魔法の力が上かを競う遊びなんだと。知らないよそんなの!
まぁ、何はともあれ私たちは無事に、クレソンちゃんを仲間に引き入れることに成功したらしい。
次はルッコラ君が言う、突出した力を持っているバンパイア、パクチー君の元へ向かう。




