第十三稿その4
レタス村に戻った私は、聖盾を扱えたことで勇者として崇められた。
依頼をしっかりと果たしたから作物の種とかも貰った。
「これをサラダ村に持って帰ればとりあえず任務完了だよ。」
私がバジルちゃんとルッコラ君に言う。
2人(匹?)は、仲がいいのか悪いのか分からないけど、とりあえずひっきりなしにいがみ合ってる。
「あんたさぁ、バンパイアのくせにすぐ泣くんだ?」
小っちゃいバジルちゃんが人間サイズであるバンパイアのルッコラ君を見上げながら威張る。
「ぼぼぼ僕は争いごととかそういうのが嫌いなだけだもん!」
目の端に涙を浮かべながらルッコラ君が反論している。
今にも泣きそうだ。
そんなことよりも2人とも私の話を一切聞いてくれていない。
賑やかだったけど、とりあえず私たちは川を迂回して再びサラダ村に到着した。
畑を作るのは村の人たちに任せるとして、私はあることを考えていた。
それはサラダ村とレタス村を繋げようということ。
聞けばこの辺の地域は人民掌握軍によって包囲されているらしい。
さすがの勇者の私でも、そんな大人数を相手にしたら死んじゃうかもしれないし、戦いたいとも思えない。
それならば、サラダ村とレタス村を大きな柵で囲ってしまって1つの領土とした方がいいんじゃないかな?って思うんだよね。
サラダ村のみんなには許可貰ったけど、案の定レタス村の人からは反対を受けた。
まぁメリットないしね。
そこでとりあえず私たちは、サラダ村の周りをぐるりと柵で囲うことにした。
「まずはこの村と関係を結べばメリットがあると思わせる必要があるよね。」
柵を一緒に作りながら私が言うと、ルッコラ君が笑顔で頷いてくれた。
どうやらDIYが好きなようだ。
「よくわかんないんだけどさぁー。」
頬を膨らませながらバジルちゃんが言う。
手伝って欲しいものだよ。
「この私がいる村と関係を結ぶメリットがないって言うわけ?」
何でバジルちゃんといるとメリットがあるのよ。メリットないでしょうが!
「何?」
私の視線が気に食わなかったのか、睨まれてしまった。
「ちょっとは手伝ってよ。」
あ!言っちゃったよルッコラ君。
「何ですって?」
ほらね?
バジルちゃんがルッコラ君の長く尖った耳を飛びながら引っ張る。
「いたたたた。うぇーん。」
もぉー。ほんとにこの2人、2匹?は仲が悪いんだからー。
それにしても柵って作るの大変だなー。
「あれ?」
そういえば、と私が声を出す。
「何よ?」
ルッコラ君の上をパタパタ飛びながら長耳を引っ張るバジルちゃんは、とても機嫌が悪いようだ。
「あ、いやー。柵を作るのに必要な木とかロープが足りなくなってきたらどうすんのかなーって思って。」
「あんたばかぁ?そんなのこの辺に生えてる木で…ってあっ!」
ようやくバジルちゃんも気が付いたようだ。
そう。この辺の木ってまばらにしか生えてないんだよね。
「もしかして、遠くから運ぶ必要があるの?」
涙を目の端に浮かべながらルッコラ君が言うけど、そうなるね…
あぁ、こうして私が描いた物語の内容になっていくのか…




