第十二稿その3
川に着いた私に声をかけてきたのは、近くの村のおばあさん。
「もし、旅のお方。申し訳ないのだがこの荷物を持つのを手伝ってはおくれませんか?」
イベントきたぁー!
「はい。いいですよ。どこまで持っていきますか?」
私が描いたラノベ通りなら、サラダ村。
今回はちゃーんと村とかの名前付けたもんねー。
「ちょっと歩いたところにサラダ村という村があります。そこまでお願いできますか?もちろんお礼はします。」
お礼かー。こういう設定は無かったなー。
私が描いたラノベだと、勇者は無償で働く生き物だし。
でも確かに、普通に考えて何のメリットも無しに働かないものかな?
ま、これは手助けだから普通に考えてお礼なんて貰えないけどね。
でもこれからは、街とか救ったらお礼を貰えるって設定も面白そうだね。ゲームとかだとだいたいそうだしね。
「おばあさん。お礼はいいですよ。ただちょっと聞きたいんですけど、ここら辺って荒れ果てた土地で作物なんて育ちそうもないんですけど、そんなところに村があるんですか?」
私が描いたシナリオだと、聖剣と聖盾が勇者の印でそれを探す旅に出るんだけど、その前にサラダ村の人たちのことが気になるよ。
前回は、NPCだと勝手に思って気にも留めなかったけど今回は違うよ。
もうあんな思いはしたくないしね。
だから隠し事もしない。
「実は豊かな土地は人民掌握軍に全部占拠されてしまったのです。」
うん。私が描いた通りのストーリーだね。大丈夫大丈夫。
私たちは川沿いをゆっくり歩く。
「あの、おばあさん。慌てないで聞いてください。実はこの世界は私が生み出した世界なんです。」
そう切り出して私は、おばあさんに私に起きている現象をかいつまんで説明した。
おばあさんは最後まで私の話を聞き、優しく微笑んでくれた。
「旅のお方がいるから今の私たちがあるんだね?」
「そうですけど、でもこの現状を作ったのも私なんですよ。」
「そんなの気にすることではありません。さぁさ、村に着きましたよ。何もありませんがどうぞゆっくりしていってください。」
…なぁーんか拍子抜けだなぁー。
カラアゲさんとかナポリタンなら私に文句の1つでも言いそうなのに。
あ、でも最後に告白した時は文句も言わずに受け入れてくれたっけ。
案外こんなもんなのかな?
それにしても…なぁーんにもない村だなー。
確かに私が描いたラノベの設定でも、荒地にポツンとある村って設定だけどどんな生活してるのかは純粋に気になる。
「この辺りには野生の動物もいなければ作物も育ちません。唯一の救いが川です。川で魚を採り、魚を狙う鳥を採って生活しています。」
おばあさんが私に説明する。
「野菜とか作らないんですか?」
「作りたいんですけど、人手が足らんのです。」
見れば確かに若い人がいない。
「若者は、この土地を見限って遠くへ行ってしまいました。」
悲しそうにおばあさんが言う。
なんか地方の状況に似ているなー。
「お世話になりっぱなしなのもあれなんで、少しでよければ手伝いましょうか?」
思わず出た言葉だけど、これがきっかけで私はサラダ村にしばらく滞在することになった。
早速私が描いたラノベと違う展開だけどいいのかなぁ?




