第十二稿その2
お声がかからーん!
それどころか評価も感想も無い!
そっか…前の作品では酷評だったけど、評価してくれるだけマシなんだ。
つまり今回の作品は前回の作品よりも悪いってことだよね…
チラリと願いが叶うお守りが目に入る。
――あ。そっか。もう一度自分が描いたラノベの世界に入れれば、どんなところが悪かったのかとかが分かるかも…
「なぁーんて…そんな都合のいい話しあるわけないか。」
私がそう口に出した瞬間、願いが叶うお守りが光り出した。
眩い光は私を包んで――
………
……
…
「どうしよう…またラノベの世界に転移しちゃったよ。」
どうやら都合のいいことがまた起こったようだ。
『バンパイアくんとフェアリーちゃん』の世界に転移したなら私は主人公のパセリかな?
バンパイアとフェアリーを仲間にして、この世界の征服を企む悪の組織と立ち向かうって感じの王道ストーリーなんだけど…
まずは主人公の私が勇者の印を手に入れなきゃね。
ふむふむ。辺りは荒野ね。私が設定した通りだ。
ちゃんと情景もしっかりと描いたもんね。
近くに小川が流れてて、そっちに行くとイベント発生なんだよね。
とはいえ、見える範囲に川は見当たらないなー。
普通ならあわてるんだろうけど、私は前回も異世界転生してるからちょっと知識ついてるんだよね。
まずは耳を澄ませる。水が流れる音がすればこれがベスト。しないなら高いところに登って辺りを見渡すんだ。
これ、カラアゲさんから教わった知識なんだよね。
カラアゲさん…元気かなぁ?
自分が作った世界の登場人物だから、元気かな?って心配するのも変なんだけど。
そういえば私、あの世界を体験してから、自分の作品を修正してないや…
何のために異世界転生したんだろ?せっかく自分の描いたラノベの世界を体験したのに、修正もしないで新しい作品を描くってバカなの?
それに最後のカラアゲさんの言葉…
――さっきナポリタンが聞いていた俺たちのその後についてだが、出来れば続きを描いてほしい。どんな内容でも構わないから――
戻ったら続きを書いてあげなきゃなー。
それにちゃんと修正しよ。
さてと。水が流れる音はしないから、あの小高い場所まで行ってみますか。
私は前方に見える、ゴツゴツの岩山を登ることにした。
こんな時にナポリタンがいたら、上から手を差し伸べてくれるんだろうなぁ。
ナポリタンかぁ…あの最後の言葉、本当なのかな?
――それと――アヤメのこと大好きだったぞ。
いつからナポリタンは私のことを好きだったのだろう?
私は…ナポリタンの気持ちに応えられたのだろうか?
顔が赤くなるのを感じる。
ひんやりした空気が、紅潮した頬に心地いい。
自分で作った世界だから当たり前だけど、現実世界よりも異世界の方が私は雰囲気が好きだ。
お、川発見♪
じゃあ、あそこへ向かってまた新しい冒険を始めますか!




