第九稿その3
「大丈夫か?」
酒場での話をカラアゲさんとナポリタンにした。
ヘコんでると思われたのか、ナポリタンが優しく声をかけてきた。
「あ。うん…正直、もっとアンフェアだと思ってた。」
これが私の本音。
この都市の人たちは、私達に誠実すぎる程の対応をしてくれた。
宿も普通に提供してくれるし、ご飯も武器も提供してくれる。もちろんぼったくったり騙したりもしない。
嫌がらせもなければ、知りたいことは何でも教えてくれた。
それこそ魔王の城の場所も教えてくれた。
城にはドラゴンが守っているってことも。
「オレも思う。でもこれがこの都市なんだろうな。魔王を倒せるかもしれない<破邪のツルギ>も売ってくれたしな。」
大きな剣を見ながらナポリタンが私に言う。
正直、この剣で魔王が倒せるとは思えない。倒せるものをこんな魔王がいる目と鼻の先で売っているとは思えない。
まぁそれはいいとして、親切すぎるのがなんだか気持ち悪いとは思う。
「罠…かなぁ?」
「罠だとしても行くしかないだろ?」
親切全てが罠だった方が納得できるしね。
「行くぞ。」
準備に出ていたカラアゲさんが戻るなりに言う。
意外と軽装なのが驚きだけど、まぁこの都市に魔王の城があるんじゃ軽装にもなるよね。
ピンチになったり持ち物がなくなったら戻ってくればいいんだし。
ゲームみたいだけどまぁいっか。
私達は、都市のど真ん中に堂々と存在する魔王の城へ向かった。
「こーんなに堂々としてるって魔王すごいな。」
「ほんとね。見張りもいないもんね。」
ナポリタンが改めて感心して、私が同意した。
扉を押すと、ギィー。といかにもなドアが軋む音を立てながら開いた。
「鍵もしていないとは…舐められているのかやはり罠なのか…」
不安そうにカラアゲさんが言うけど、入り口で私達は鍵をせず都市のど真ん中に城があった理由が分かった。
「ドラゴン!」
ナポリタンが言い、カラアゲさんが<ドラゴバスター>を構える。
1階はそうだ…思い出した。ドラゴンの間だ!
3階から成るこの城の最初の守りが複数のドラゴン。
とはいえ本来ならこれが最大の砦なんだろうけど、私にとってはむしろ簡単な課題だ。
「任せて!」
そう言って私は色とりどりのドラゴンに魔法をぶっ放す。
多分、私が描いた時はそんな設定はしてないけど、今の私はきっとドラゴン特化型なんだと思う。
だからドラゴン相手なら余裕。
お、カラアゲさんもせっかく手に入れたドラゴバスターを使ってドラゴンを倒している。
ナポリタンは援護か…
んー!やっぱいいね!このメンバー。最近特に息が合ってきた気がするよ。
「片付いたな。」
ナポリタンが私の肩を軽く叩く。
上へ向かう階段が目の前に見える。
――あ…そうか…
何でこの都市に近づくにつれて胸がざわついていたのかやっと分かった。
3階の忘却の間だ…
しかも2階は天変地異の間。ありとあらゆる天災が起こる場所って設定だったな…
「ちょっと待って2人とも。」
ここで私は先を急ごうとするカラアゲさんとナポリタンを止める。
2人とも、私が制止するのを分かっていたかのような表情をしている。
「何を言われるか何となく分かる気がするけど、とりあえず言っておく。オレもカラアゲさんも何を言われても引き返さないからな!」
私が言う前にナポリタンに言われてしまった。
カラアゲさんも、うむ!とか言ってるし。
あぁもう!本当にこの2人は私のために体張りすぎなんだよ!
このままじゃ2人とも私を忘れちゃうんだよ?
強制。そんな言葉がピッタシなくらいの2人の言い方に私は何も言えずに2人の後を追った。
これから先何が起こるのかを知りつつ、すべきことを後回しにしているだけなのに…




