第一稿その3
残念ながら私にはこの先の展開を知っている。
勇者は戦わずにドラゴンが戦いに乱入するのよ。
そもそもタイトルだって意味なく付けただけなんだし。何となく流行りのタイトル付けとけば目を引くかな?って思ったら全然そんなことなかったし。
むしろ意味分からないタイトルって酷評だったし。
SNSでいいねしたら異世界転生しちゃうだけの話。名前オチにも程があるよね。
「ほんと…意味が分からない。」
「は?」
ぽつりと呟いた私の呟きが聞こえたのか、村の兵士が間抜けな反応をした。
私がゴブリンの巣の前にたどり着くと、中からわらわらとゴブリンたちが現れた。
『自発ください#いいねで気になった人お迎え~お別れはブロ解で~←これのせいで異世界転生しましたw』だとこの後すぐにドラゴンが現れるんだけど…
「な!何だあれー!」
やっぱりね。
真っ黒で巨大なドラゴンが山の向こうからぬっと現れた。
ゴブリン達は散り散りに逃げ出した。
はぁ…自分で書いておいて言うのもなんだけどさ、『自発ください#いいねで気になった人お迎え~お別れはブロ解で~←これのせいで異世界転生しましたw』はドラゴンとばっかり戦うんだよね。
しかもほとんどが瞬殺っていうね。
だって私か弱い女子だよ?戦いとかよく分かんないもん。
「勇者殿!ドラゴンですぞ!」
兵士の1人が叫ぶけど、分かってるよ。
「はぁー!ドラゴンよ滅べぇー!」
またもや私は、いかにも魔法を使っている風のポーズをとって叫んだ。
これだけでドラゴンは滅んで、私はさすが勇者殿と称えられた。
はぁ…なんだかなぁ…
いくらチートだからと言ってもさすがにこれはないよね…
自分でラノベを書いてる時は盲目になっちゃうのかなぁ?
思い足取りで私は村に戻って行った。