第八稿その6
「気が付いたか?」
聞き覚えなのない声がする。
目を開けて起き上がろうとすると、脇腹が痛んだ。
あぁそっか、私ハングレに刺されたんだっけ。
見覚えのない場所と聞き覚えのない声がするところを考えると、私はハングレにさらわれたんだな。
食糧にされるのか、拷問を受けるのか、それともカラアゲさんとナポリタンを呼ぶための人質か。
こんなこと私が書いたラノベでは無かったけどなぁ。
痛みに顔をしかめると、私に声をかけたのと同じ声がした。
「傷が開く。そのままにしてろ。」
「何で勇者を生かしておくんだよ!死神!」
「そうだぜ?こいつは俺らのチーム2匹を殺したやつの仲間だ。挙句にこいつが刺されたせいで悪名が旗揚げしちまった。俺らはこいつらのせいで悪名旗揚げのお膳立てさせられたんだぜ?いい面汚しだ!こいつを殺しとかないとチームの名が下がるぞ!」
そう言って私のお腹を蹴る。
こいつ~乙女のお腹を何だと思ってるんだ。
いや今は男だけども…
それにしても死神って名前だったのか…
「その通り。ここでこいつを殺したら勇者の仲間はやって来ない。こいつを人質に勇者の仲間をおびき出し、そこで正々堂々3人を倒す。そうしないと夜叉の名は地に落ちる。」
おお?他の2人が黙ったってことは、死神の意見を認めたということかな?
確かに『自発ください#いいねで気になった人お迎え~お別れはブロ解で~←これのせいで異世界転生しましたw』では、魔王が支配する都市にたどり着くまでにいくつか戦闘があったって書いたよ。
けどさぁ!こんな感じとは思わないじゃん?
「おいクズども!」
お。ナポリタンの声だ。
かなりお怒りのご様子。
「オレの仲間に手を出しておいてただで済むと思うなよ!」
「来たか…」
死神と呼ばれたハングレが私の近くから去る気配がする。
私はまだ痛みで目を閉じているけど、何となく分かる。
なんだろ?このまま目を開けた方がいいんだろうけど、何となく開けられない自分がいる…
きっと現実を見るのが怖いから。
私のために怒ってくれる人がいる。私を助けてくれる人がいる。
これはきっと嬉しいこと。
でも…私のせいでカラアゲさんやナポリタンが傷ついたり迷惑をかかるのは何か嫌だ。
たとえ私が作り出したキャラだとしても!
「カラアゲさん!ナポリタン!わ…僕のことは放っておいて!先に魔王のところへ行って!」
私は助けて貰った経験なんてない。だから自分のことは自分でできるし、人に甘えたり助けを求めることもしない。
でもやっぱりこういう返事が聞けると嬉しいね。
「馬鹿野郎!お前はオレ達の仲間だ!見捨てられるか!」
「うむ!アヤメが連れ去られたことに気付かなかった俺たちの責任だ。」
何なんだよカラアゲさんもナポリタンも!
私が作り出したキャラのくせに!かっこよすぎだよ!
「もぉーバカ!」
何でか分からないけど、この時は私が女だと知られても、この世界を作り出した張本人だと知られてもいいと思った。
ただ、ありのままの私を知ってほしいと思って自分を偽らずに作らずにそのままの自分を出した。




