第七稿その2
遠い昔。
芸術の町がまだそこまで発展していなかった頃、音楽メンバーと絵画メンバーしかいなかったそうじゃ。
芸術の町を、色んなジャンルの芸術で発展させていこうと考えた音楽メンバーのリーダーだった男は、絵画メンバーの女リーダーにこう言ったそうじゃ。
「来年の雪が降る季節、俺はたくさんの音楽隊を引き連れて色んな演奏をする!君はその時にその音楽の演奏に合わせて絵を描いてくれ。」
それから男と女は色んなメンバーを集め、それぞれに芸術性を高めて行ったそうじゃ。
そんなある日、芸術の町をモンスターが襲った。
幸いにも被害は小さかったが、どうやらモンスターがやって来た原因は音楽の音に釣られて寄ってきたということが分かった。
これ以上町に迷惑をかけるわけにはいかないと、音楽メンバーはみんなで近くに音楽都市というのを作り、そこに住むことになった。
それから芸術の町はモンスターに襲われることもなく、色んなジャンルの芸術が集まった。
そして音楽都市には色んなジャンルの音楽が集まった。
音楽都市はモンスターに度々襲われたが、みんな一丸となってこれに立ち向かった。
全ては、雪が降る季節に、芸術の町で最高のコンサートをするために。
そして雪が降る季節。
音楽メンバーは芸術の町で最高のパフォーマンスをした。
絵画リーダーだった女と音楽リーダーだった男はこうして幸せに結ばれた。
そう思われた。
以降、2つの都市は友好な関係になっていると。
しかし、芸術の町の当時の町長が面白い顔をしなかった。自分の町よりも音楽都市の評価の方が上だと感じたのじゃ。
本来であれば、音楽も同じ芸術じゃ。どれが上とかそんなものはどうでもいい話だったのじゃが、とにかく町長は音楽都市のメンバー全員へ嫉妬した。
更に悪いことに、町長はなんと絵画リーダーだった女のことを気に入っておった。
それが町長からしたら、突然現れた音楽隊の一員に奪い取られた。そう感じたそうじゃ。
それ以来、音楽都市の音楽隊が来ることを町長は禁止し、将来を誓い合った若い男女は離れ離れになってしもうた。
音楽リーダーだった男は、音楽を彼女に届けるために町中を活気あふれる町にした。
自分の気持ちを伝えるために。
こうして音楽都市は誕生し、いつしか芸術の町の町長が変わった時に、音楽都市の一員を招き入れて音楽を演奏して貰うという風潮に変って行った。
音楽リーダーの男と絵画リーダーの女はこうしてようやく出会えたが、その時はお互い年老いており、別々の家庭を持っておった。
それでも何十年ぶりに出会ったにもかかわらず、2人は一目でお互いが最愛の人だと分かったそうじゃ。
絶対に叶わない恋を胸に秘めて、お互いに音楽を奏で絵を描いていたそうじゃ。




