第六稿その4
「ようこそ勇者様。」
受付嬢の笑顔はいい。
女の私でも可愛い子は好きだ。
元がデブスだと尚更ね。ある意味羨ましさもこもってるけど。
「えっと、漁港が盛んな街に行く最短ルートを探してるんですけど。」
「魔王討伐の件ですね?次の町は隣町の音楽都市になります。」
「音楽都市?ここは芸術の町ですよね?何か違いがあるんですか?」
そう私が訊ねると、受付嬢は嫌そうな顔をして話し出した。
「実はですね。元々は音楽都市なんて無かったんですよ。それが、この町が発展したということで音楽部門だけ独立しちゃったんです。今ではこの町よりも大きな規模になっていますよ。だから、この町に流れている音楽は全部、音楽都市のものなんです。ほんと迷惑してますよ。」
あぁ。これは私が作った設定だ。
…待てよ。
「ということは、音楽都市を快く思っていない人がこの町には大勢いるってことですか?」
「もちろんです。むしろ、良く思っている人なんかいないと思いますよ?ここだけの話ですが、あの都市では月に何度か暴動や騒ぎが起きるんです。その原因はこの町の住人って噂です。」
内緒にしてくださいね。と受付嬢は最後に付け足した。
なるほどねー。次に私達が向かう音楽都市では都市で大火災が起きるんだよね。
その原因がこの町の住人ってことだね。
「旅に必要なアイテムとか食べ物を売ってるお店ってどこにあります?あと宿屋も教えてください。」
何しろこの町は広すぎる。
さてと。これでお店の場所は分かった。
問題は私じゃあアイテムとか道具がよくわかんないってこと。
とゆーか、食べ物だけあればアイテムとか私は不要なんだけどね。
一度も怪我しないで魔王倒すし。
まぁそんなことも言えないし、言ったところで信じて貰えるわけもないよね。
たとえ信じて貰えたとしてもさ、自分たちの世界が私のせいで魔王に襲われるって思われたくないし。私はこの世界ではいい人でいたいもん。
とりあえず宿屋に戻って2人を待つか。
今まで私は1人の時何してたっけ?
あぁそれこそラノベ描いたり本読んだりアニメ見たりしてたっけ。
…
暇だ!
旅も出ないで何もすることがないとなると、物凄く暇だ。
芸術の町なんだし見に行ってみようかな。
「勇者様。ちょっとお話が。」
宿屋のおじさんが部屋に入ってきた。
何だろう?せっかく町の散策に出かけようと思っていたのに。




