第五稿その1
翌朝には私たちは、星が降る街を出発した。
次の目的地は炭鉱の町。
そこまで到着すれば漁港が盛んな街まであと少しになるんだよね。
漁港が盛んな街の次は、魔王が支配する都市だっけ。
「大丈夫か?アヤメ。」
丘を下ると足場が悪い岩場が延々と続く道だった。
運動音痴の私を見かねたナポリタンが手を差し伸べてくれる。
「ありがと。」
ちょっと無愛想だったかな?
何だかんだ助けてくれるし。もう少し気持ちを込めて礼を言ってもいいのかもしれない。
でも、どうしても私自身が作り出したこの世界で、私自身が作り出したキャラクター、しかもNPCで現実には存在しないキャラクター。ましてや適当に作った名前と設定。
感情を込めろと言う方が無理な話でしょ。
まぁ2人とも最初の頃よりは印象は良くなったけどね。
それでも私にとっては作品内のキャラとしてしか見れないよ。
愛着とかはあるけどそれだけ。だからって感情移入するかって聞かれたらしない。だから私の作品は人気がなかったんだろうね。
次回作はもう少し読者を置いてけぼりにしないような作品を作らないとね。
せめてもう少し感情移入できるキャラ作りが必要だね。
岩場を過ぎると比較的歩きやすい道に出た。
こういう設定は作ってなかったから、私にとってはすごく新鮮だなー。
靴とか服装でも歩きやすさが全然違うんだなー。
普段からジャージにスニーカーの私は、そういう当たり前のことにも気がつかなかった。
カラアゲさんは大荷物に重装備なのに、岩場をひょいひょい進んでたなー。
ナポリタンもタンクとしてそれなりの装備なのに、平気で進んでたなー。
きっと私が設定していないだけで、戦い以外の訓練とかもしてたんだろうなー。
「そういえば2人ってどこで出会ったの?」
ふとした疑問をしてみた。
私のラノベでは、なんで2人が知り合いなのかは描いていない。もちろん作者本人の私ですら考えていないから、どうして知り合いなのか知らない。
今後の創作活動の役に立つかもしれないし、聞いておこう。
「あぁ。オレがまだ小さかった頃にカラアゲさんにめっちゃ怒られたんだよ。オレ親いなくて盗みでしか食っていけなかったからさ!」
おぉう。なかなかの過去を明るく笑顔でよく言えるなぁ。
「んで、カラアゲさんに捕まって勝手に鍛え上げられて、色んな場所でモンスターと戦わされて、気がついたらカラアゲさんの盾になってた。」
だからタンク役やってるんだ…
だからこの2人の信頼は厚いのか。
「お前がみなしごだと知って、仕方なく育てただけだ。俺が教えたのは、働かなきゃ飯が食えないということだけだ。」
無愛想にカラアゲさんが言う。ひょっとして照れてる?
それにしても、働かなきゃご飯が食べれないのは分かるけど、いや私がそれを理解するのも変なんだけど…
でもだからってモンスターと戦うような仕事をさせるかね?
「ま、そのおかげでオレは生きていられるから感謝してるんすけどね!」
そりゃそうか。カラアゲさんに感謝してもしきれない恩があるんだね。
「お、町が見えてきたっすよー!」
感謝してるって言ってたナポリタンも恥ずかしかったのかな?ささっと先へ行って、町を発見して来た。




