第四稿その3
星降りの丘は私が描いたラノベ以上の急勾配なのではないだろうか?
こんなに登坂がキツいなんて…
転生して体力とかがスポーツマン並になっていると勘違いしていた私は、嫌という程、コンプレックスを思い出さされた。
デブスの私は運動が苦手だ。
そんな私は、運動会や球技大会ではクラスのお荷物だった。
今もほら。カラアゲさんがずんずん先に行って、私ははるか後方。ナポリタンが私とカラアゲさんの間にいる。
分かってる。体力がものを言うこの世界で、いくら勇者の体力や身体能力を得たとしても、現実世界で運動神経が良かった経験がなかった私には、どうやって動いたらいいのかその原理が分からない。
例えば上空に飛んだフライの球をキャッチするのはある意味感覚だと聞いたことがある。
どこに球が落ちてくるのか落下予測を立てると。
それこそ野球をやり込んだ習慣みたいなものだ。
私のようにただ運動神経を得ただけでは、この技術は習得できない。
走るのが早くなったり、いつもより疲れなかったり。その程度。
本当に使える運動神経は日常生活で培われるんだ。
それを私は知ってて無視してた。
ラノベ作家には不要だからって。
でもこうやって異世界に来てみると分かる。
そういったスキルが一番必要なんだって。
だから私は、すぐに転ぶしこういった坂道をなるべく体力を消費しないで登る術を知らない。
「あのなアヤメ?登る時は長距離走だと思った方がいい。短く息を吸って吐くんじゃなくて、大きく吸って吐いた方がオレは疲れない。」
ナポリタンの場所までやっとのことで登った私に、ナポリタンがアドバイスをくれる。
そういうもんなのか。
「オレの場合は、吸う吸う吐く。吸う吸う吐く。っていう一定のリズムで呼吸をしてる。」
「それと、腕の力も使え。腕を振る力を使うことで登るのが楽になる。」
カラアゲさんだ。
なるほど、疲れると思って腕の振りを小さくしてたけど、大きくした方がいいのか。
「あ、大げさなのはダメだよ?オレはあんま腕降らない方が登りやすいし。」
「バカな!腕を振る力を利用して登った方が疲れんだろ?」
「それ、筋肉量が多いカラアゲさんだから通用するんじゃないっすか?」
カラアゲさんとナポリタンが私のために色々アドバイスをくれた。
おかげで想像よりも早く、想像よりも疲れずに頂上まで登ることができた。




