第二十七稿その1
「終わりですかね……」
私とパクチー君は沼に囲まれながら前方からの針の攻撃に備えている。
上空の大岩はちょっとどうしようもない気がする……
そんな私たちの様子を見てシーナルは優雅に紅茶を淹れ始めた。
食器棚から紅茶のカップとポット、ヤカンにソーサーを取り出しているけど、あれ全部掌具や握器なんだよね?
あいつ掌具や握器でお茶してたのかよ……
「上の岩は俺に任せろ。お前は前の針に集中しろ」
手の爪を伸ばしてるからあれで岩を砕くつもりかな?
私は盾で全ての針を防いでみせるから、パクチー君上は頼んだよ!
「ぐ……くくく……」
思わず声が口から漏れる。
パクチー君は私の陰に隠れながら上から降ってくる大岩を破壊するために力を溜めている。
とはいえ私の陰から飛び出すと針攻撃を受ける可能性があるから、ギリギリまで大岩は壊せないね……
「おや? 針を全て防ぎましたか……勇者が持つ伝説の盾の力ですか……」
やれやれとシーナルが首を振る。
さらにパクチー君が2、3個の大岩を破壊したのを見てシーナルは更に落胆する。
「この手順で倒せなかったのは、貴方たちが初めてですよ」
シーナルが沼の掌具を解除したことで、私たちは自由に動けるようになった。
「困りましたね……私はこの手順で貴方たちを倒せると思っていたので、他の掌具も握器もたいした物はありません……仕方がありませんね。ここは退くとしましょう。ですが貴方たちがここの前線を押し上げていることは上に報告させていただきます。ケルベルス部隊かもしくはそれ相応の力のある者がこの地に派遣されることでしょう。注意することです」
くるりと背を向けて、行きますよ。とシカカとラクサに声をかけてシーナルは立ち去った。
私もパクチー君も呆然と立ち尽くすしかなかった。
「あいつ……まだ余裕があったのに……」
「この俺を見逃しただと……」
私たちは、シーナルの強さを実感した……




