第二十五稿その4
沼にはまってからのパクチーは逆に冷静だった。
『時間がないとはいえここから抜け出さねばな……それにこれだけ掌具を使い続けているんだ。奴の体力もかなり減ってるだろう』
そう考えるパクチーは正しい。
誤算があるとすれば――
『くそ。かなり体力を減らされた。だがこれで奴も動けまい……沼から抜け出せたとしてもきのこの胞子のしびれでじきに体が動かなくなる……』
にやりと笑うラクサは正しい。
誤算があるとすれば――
パクチーは目を閉じ、血祭、雷光を使って素早く沼から抜け出そうとしてみた。
しかし、全身が沼の泥に捕まり前回ほどのスピードは出ない。
それでも爆発力を利用して沼から出ることには成功した。
「ほう?」
思った以上にパクチーが冷静だったことに、自分の読み違えを認める。
「同じ手には引っかからないぜ?」
素早くパクチーが左右に移動してラクサを陽動する。
『ちっ。目で追えねぇ。これ以上掌具を使えばかなり消耗する上に奴の次の攻撃についていけなく可能性がある……かといって握器を使ったところで同じことか……』
ラクサはダメージを受ける覚悟で動きを止めた。
そのかわり、なるべく自分へのダメージを減らすために急所は腕でガードし、身をかがめて姿勢を低くして、パクチーの攻撃対象を減らした。
「いい度胸だ」
パクチーは血祭、雷光で素早く移動してラクサのがら空きの背中を殴った。
一瞬ラクサの息がつまる。
更にパクチーは血祭を使わずに殴り飛ばされたラクサを追いかけ、そのまま爪を伸ばす。
「終わりだ」
パクチーの尖った爪がラクサに迫る――




