第二十五稿その2
「血祭、蒸発」
パクチーが血祭を発動すると、パクチーの体がユラユラ揺れ始めた。
ラクサが飛ばした両手の炎は、ユラユラ揺れているパクチーを通過した。
「なんだ?」
避けたわけでもなく通過したことにラクサが疑問を持つ。
「物理攻撃が効かない力なのか、すり抜ける力なのか……蒸発という名前から察するに自分を蒸発させる力だな……」
ブツブツ分析をするがその分析はほぼ正解だった。
血祭、蒸発は自分もしくは自分の体の一部を水蒸気にする技だ。
ルッコラから学んだ血祭の1つだった。先ほどの朧も同じくルッコラから学んでいた。
パクチーはサレとの戦闘後、自分に足りないものを自覚し、自分に必要なものをしっかりと学んでいたのだ。
ただでさえバンパイアの中でも身体能力が高いが、それにあぐらをかくのではなく、足りないものをしっかりと補う。そこがパクチーの強さだった。
「サレとの戦いで俺はほとんど無力だったからな……前回勝てたのは偶然だ。だから俺は新しい技をいくつか手に入れた。てめぇとの戦闘で俺は更に成長するぜ?」
パクチーが素早く動く。
「血祭、爪伸」
パクチーが爪を伸ばしてラクサを引っかく。
「くっ!」
ギリギリのところでラクサは避けるが、動きはバンパイアの方がはるかに上だ。
「血祭、粘体」
パクチーが新しい血祭を使ってラクサをタッチした。
しかしこの血祭はそれだけで効果があった。
にやりとパクチーが笑みを浮かべ、そのままタッチした方とは反対の手でラクサをパンチして殴り飛ばした。
『何だ? 奴に触れられた瞬間、体が奴から離れなくなった……くっつける効果のある血祭か?』
「今のも新しい技だ。今のてめぇじゃ俺には勝てねぇーよ」
ラクサの目の前に現れたパクチーの爪は既に伸ばしてあった。
とどめを刺すつもりだった。
しかし、小将軍の力は伊達じゃなかった。
「掌具:歪なきのこ(ワンダーマッシュ)」
ラクサが新しい掌具を使うと、ラクサの片耳のイヤリングが巨大なきのこに変わった。
パクチーの爪攻撃は止まらず、そのままラクサとパクチーの間に現れた巨大なきのこに攻撃をしてしまった。
「ちっ」
パクチーが小さく舌打ちをするが、この掌具もまた、触れるだけで効果を発揮するものだった――




