第二十四稿その4
パクチーはラクサの遠距離攻撃を避けながら少しずつその距離を詰めていた。
「身体能力はなかなかのものだな。掌具:靴沼」
ラクサもまた、シカカと同じ掌具を持っていた。
しかし、動体視力に優れているパクチーにとって、この攻撃を避けることは何でもない。
「そう。そこだ」
そしてラクサはこの掌具が避けられることを読んでいた。
パクチーが避けた場所に炎の手を飛ばしたのだった。
パクチーは、小さく舌打ちをして新しい血祭を発動した。
「血祭、朧」
その瞬間、パクチーの体が一瞬にして消え、炎の手はやや大きめの丸太を焼いていた。
「変わり身か……」
ラクサがパクチーが移動した先を睨むと、そこでやや息を切らしているパクチーが居た。
「瞬間的に移動力を爆発的に増幅させる技のようだが、相当の体力を消耗するようだな。それにお前がそこにいるということは自分の身代わりに何かを差し出す必要があるということだな?」
パクチーが木のふもとに居ることからラクサが分析する。
「さすがは小将軍だな。分析力に優れてて嫌になるぜ」
ちい。と舌打ちをするが、パクチーには余裕がなさそうだ。
「まだ余裕があるのか?」
焦っていないパクチーを見てラクサがいら立つ。
「悔しいが俺よりもあいつの方が上ってことか……」
パクチーが呟くが、その呟きがラクサの気に障る。
「俺が上だと認めるならそんな余裕ぶっこいてんじゃねー!」
ラクサが怒りに任せて炎の手を飛ばす。
それも今回は両手を炎の手にしている。
「逃げ場はねーぞ」
ギロリとラクサが睨む。
「逃げねーよ。それにてめぇのことを上って言ったんじゃねぇーよ。俺が言ったのはルッコラのことだ」
そう言ったパクチーの体は、ユラユラと揺れていた。




