表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

[第五話] 人形少女

「 メイちゃん、いったんお姉ちゃんの周りから離れられる?すっごい遠くまで!」


「 わかった! メイいっかいはなれる!」


そう言うと喋るのを止め、すぐに静かになった。


すぐに魔障計を見つめて、変化を観察する。


すると最初は高い値を指していたのが、時間が経過するにつれ段々と低い値を指していき、通常の状態へ戻った。


値が通常のものへと戻ってからしばらくして、もう一度念話でやり取りをする。


「 メイちゃん。戻ってきていいよー!」


「 ん? わかった!」


そう伝えた後、再び魔障計を見つめて変化を観察する。


私の仮説通りなら、ここでまた異常な値になるはず…!



仮説 : メイちゃんの「友達」は魔障そのものである。



彼女が私に念話で話しかけてきたタイミングで既に私の前にいたはず。


丁度その時、隣の部屋のマリアさんが魔障計の異常に気付いていた。


そして、今さっき彼女に「離れて」と言った直後に、実際に魔障計が正常な値を示すようになった。


…明らかにメイちゃんが離れたことが関係しているとしか考えられない。


さらに、メイちゃんが「友達」に関して話したことに、


「自分にずっとついてきてくれる」といった内容があったはず。


もし「友達」を「魔障」であると仮定すれば、メイちゃんが言ってた意味不明の発言も納得がいくものが多い。


友達がスケスケなのは、魔力である魔障がほぼ無色透明であるから。


私の目の前にいたのに私が気づけなかったのもそのせいだろう。


けどこの仮説があってたとして色々疑問は残るんだけども。




計器を見続け、少しすると再び異常な値を示し始めた。


予想通りの結果に喜びを隠せない。



やっぱり! 私の予想通り、メイちゃんと一緒に魔障が移動しているってのは正しかった!




ちょっとまって。


じゃあメイちゃんって何者なんだ…?


「友達」のことばかり考えてたせいで、メイちゃん本人のことを全く考えてなかった。


よくよく考えたら高濃度の魔障を纏いながら、縦横無尽に移動する存在ってとっても危険じゃないか?


というかそもそもメイちゃんは実在するのか? 現に今まで「メイちゃん」の姿を全く視認してない。


でも確かに今、「メイちゃん」と話しているのも事実…。



「 おねえちゃん…? どうしたの? むずかしいかおしてる…」


「 ああ、ごめんねー ちょっと考え事してた。」


謎が一つ解けたと思ったら謎がもっと増えたなぁ…


主に「メイちゃんの正体」についてだけど。


うーん…


よくわからなくなったから話を一番最初に戻そう。


机の上に置いた人形を持って、メイちゃんに話しかける。


「 メイちゃん。お人形欲しい?」


「 うん! ほしい!」


「 じゃあさ、お姉ちゃんと約束してくれたら、このお人形メイちゃんにプレゼントしちゃう!」


「 わかった!どんなやくそく?」


「それはね、お姉ちゃんと一緒に暮らすことかな。」



この条件をのんでくれるかどうか…


メイちゃんが近くにいれば、メイちゃんの正体も自然と明らかになってくだろうし、


私としては純粋にメイちゃんの正体を知りたい。


あと…


メイちゃんを手元に置きたい!というか妹みたいでかわいいから私のそばに置いておきたい!


どっちかっていうとこっちが本音!


私ひとりっ子で兄弟みたいなのにちょっとあこがれてたし、


この人形に憑りついて操ってくれるなら、それはそれでよし!



結果から言うと、私の心配は杞憂に終わった。


「 いいよ!おねえちゃんといっしょにいるとたのしいもん!」


よし!交渉成立!


「 じゃあメイちゃん。今日からよろしくね!」


「 うん!」


そう言うと人形はゆっくりと動き出した。


ぴょんぴょんと飛び跳ねたり、走り回ったりと盛んに動いている。


いままでこんなにも憎たらしかった動く人形も中身を知るとかわいいと思えてしまう…


「 メイちゃん 念話使える?」


メイちゃんが憑りついた人形に向かってそう言うと、首をかしげながら頭に語り掛けてくる


「 ねんわってなにー?どうやってやるの? 」


「 今できてるよー というか知ってるじゃん!」


「 これはね!メイのともだちがおねえちゃんにメイがいうことおしえてくれてるんだよ!すごいでしょ!」



あーなるほど、そういう感じか


もしかしてだけど、メイちゃん自身は特に魔法とかそういう知識がない感じなのかな?


でもなんで魔障がメイちゃんの指示に従ってるんだ?


何か特殊な行動、例えば人形を操ったり、私に念話したりするときは大体魔障を使ってるっぽいし


魔法という概念を知らないのに、既に扱えてるの凄いよ


私たちの祖先もこういう人から魔法という体系を構築したのかな?



「 へぇー もう出来てるなんてすごいよ!」


「 えへへ…」


褒められて少し照れくさそうにしているのもかわいい




こうして今日は寝るまでいろいろなことをした。


そのほとんどは私が質問しまくってたんだけどね


やっぱりメイちゃんの謎は深まるばかりで、もうよくわからなくなってきた。


いくつかメイちゃんの正体につながることが聞けたのは良かったけどね。


まずは出身地。


メイちゃんの出身地をもう一回聞いてみたところ、リンカという街らしい。


どこにあるかは知らないみたいだけど、街並みは覚えているらしいので今度描いてもらおうかな?


次にいつから魔障が周りにいたのか。


これはわからないみたいらしい。気づいたら周りにいて今もずっとついてきているらしい。


それと目が覚めたのが森の中らしくて、それまでの記憶があやふやみたいだ。


最後にメイちゃんが他にどんなことできるか。


念話、人形操作以外にどんなことができるか聞きたかったから質問してみたんだけど、


メイちゃん自身も何ができるかあんまりよくわかってないらしい。


でも魔障に頼めば割と何でもやってくれるとか。


何度も不思議に思うけど、なんで魔障がそんなにメイちゃんに力を貸すんだろうか。


そもそも魔障はある特定の魔力を指す固有名称だ。


魔力には、その魔力を自分のものとして操る権利があり、例えば自分が生み出した魔力は最初から操作権を持っている。


そしてこの操作権は奪うことができるのが魔力の特徴。


魔力を奪えば、その魔力は自分の魔力として使うことができるんだけど…


魔障はその操作権を一切奪うことができない。


これまで魔障という存在が確認されてから、多くの人が魔障の操作権を奪おうといろいろ試行錯誤したみたいだけど


一度も奪えてないらしい。


だからあるところでは「一途な魔力」とよばれてるんだとか。


そういうのも踏まえるとやっぱりメイちゃんが魔障を使えていることはおかしいんだけど


まだメイちゃんの背景がわからないからなんとも言えないって感じ。


色々考えてたら眠くなったので今日はおやすみなさい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ