4.突然の闘技大会
ふむ、何故俺が闘技大会に出ているんだ?
気付けば俺は闘技場で、大歓声の中、屈強な男を前にしていた。
時を遡る。
―ノーベル第一学院―
――俺とアルシェはノーベル第一学院に到着し、校門を目の前にしていた。
なんと壮観な光景であろう。人を圧倒させるような大きな校舎を構え、校舎の周りは湖のようなモノで囲われている。
おまけに校門には噴水まであるときた。
1000年前からは考えられない。まるで学校と言うより城と言った方が正しいのではないか? と、シャノンは唖然とした。
シャノンの住む国フォルティアは大国であるため人口が多いのだ。それにも関わらず、国には3つしか学校がない。
そのため、一つ一つの学校がとてつもなく大きいのだ。
ノーベル第一学院、ノーベル第二学院、ノーベル第三学院である。
シャノンとアルシェは、同じノーベル第一学院の生徒であった。
記憶を辿ると、どうにも昨日が始業式だったようだ。
なるほど、周りの連中がソワソワしていたりと落ち着かないわけだ。
春という季節は学年やクラスなども変わり、人間関係も新しくなるからな。
薄いピンク色の桜の木が揺れていて、桜の花びらが風に踊らされている。まるで、シャノンたちを歓迎しているかのようだ。
「ふむ、やはり桜は美しいものだ。」
アルシェの頭の上に乗っている桜の花びらを手に取り、シャノンはニコリと笑う。
アルシェは嬉しそうにニマニマしていた。
「と、ところで! シャノンさんは今日の闘技大会に出場するんだよね?」
……はて、何のことだ?
毎度の如く記憶を辿ってみるが、今日の闘技大会に関する情報は見つからない。
あヤツめ、人の話をしっかり聞いてなかったのか?
「いや、知らぬが。だが、闘技大会とは面白そうだな。」
「もー! ちゃんと人の話は聞いておかないとダメですよ〜?」
アルシェはおチャラけた笑顔でシャノンを見つめる。
いや、待ってくれ……! 俺悪くないから!本当に!
内心はそう思いシャノンは少し動揺したが、表には出さずあくまでクールを装う。
しかし、始業式の次の日に闘技大会とは珍しいものだな。
「あ、あぁ〜そうだな、肝に命じておくとしよう!
だが、俺が出場するというのは勘違いではないか? 俺は何も知らぬぞ。」
「でもやっぱり出場者リストにシャノンさんの名前があったような……
とりあえず闘技場の掲示板を見れば出場者リストが見れるから、そこで確認しましょう!」
ふむ、疑問だ。
誰かが勝手に俺を出場登録させてた……という事か?
まずは出場者リストを確認してみる事にしよう。
そうして、俺たちは闘技場に向かう……はずだった。
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