5月「ゴールデンウィークと五月病」
5月といえば、ゴールデンウィークだ。
春休みにろくにデートが出来なかった私達は、ゴールデンウィーク中の1日位は会おうと約束していた。
…その日が今日、なわけだけど。
「ほんとにごめん、赤松さん…」
「大丈夫だよ、勉強はしなきゃだし」
「そうだけど…今日は思いっきり遊ぼうって前から言ってたのに…」
私と赤松さんは、私の部屋で勉強会を開催しているのであった。
原因は、私。
ゴールデンウィーク直前に届いた模試の結果が振るわず、親から遊びにストップが掛けられてしまった。
「私も、森丘さんが私と遊んだせいで志望校に落ちたら嫌だもん。だから気にしないで」
「ありがとう…」
文句一つ言わず、明るく笑う赤松さんには感謝しかない。
「じゃあ、始めよっか」
「…うん!」
よし、頑張ろう。
次の模試では判定上げて、夏休みには絶対1度はデートに行くんだ…!!
_勉強し始めて、2時間が経った頃。
「ふー…」
「結構経ったね。森丘さんは何の教科やってたの?」
「英語…」
長文読解はまとまった時間で一気に集中しないといけないから、疲れる。
でもそれは、きっと目の前で化学をしていた赤松さんも同じだろう。
「赤松さん、お茶入れてこようか?」
「いいの?ありがとう」
「ジャスミンティーと緑茶、どっちがいい?」
「ジャスミンかな」
「おっけー」
私は緑茶にしよ。
お茶を持ってくると、赤松さんはまた参考書に向かっていた。
伏し目がちな目が真剣で、いつもと違う表情にドキドキする。
…まつ毛、長いなぁ…。
「あ、お茶ありがとう」
「っう、うん」
お茶を載せたトレーをローテーブルに置き、私も床に座る。
「? どうしたの」
「いや別に!」
赤松さんは不思議そうな顔をしていたけれど、ジャスミンティーを飲むとほっとした表情になった。
「美味しい」
「よかった」
マグカップを両手で持つ赤松さんが可愛くて、私の頬も緩む。
「赤松さんはどう? 捗ってる?」
「まぁまぁかな…。森丘さんは?」
「私は…全然ダメ…」
集中しようと思っても、連日頑張りすぎたのか、ちっとも頭に入ってこないのだ。
五月病ってやつだろうか。
「頑張らなきゃいけないのに…」
項垂れた私の頭に、赤松さんが手を載せた。
そのままポンポン、と優しく撫でられる。
「森丘さんは、頑張ってるよ」
「…赤松さん…」
…なんていい子なんだ、赤松さん。
頭に載せられた手から、彼女の温もりが伝わってくる。
「ジャスミンティーって、リラックス効果があるんだって。1口飲む?」
「飲む…」
赤松さんが差し出してくれたマグカップに、口を付ける。
あー…あったかい。
確かに、なんだかほっとする感じがする。
「どう? リラックス出来た?」
「うん。ありがとう」
「膝枕もしてあげよっか?」
「え」
また、赤松さんがいたずらっ子みたいな顔をしている。
…でも、正直魅力的な提案だ。
寝不足気味だし。
「…じゃあ、お願いします」
私は頷いて、赤松さんの傍に行こうと立ち上がった。
_赤松さんの膝に、頭を載せる。
「ふふ、猫みたい」
「からかわないでよー…」
楽しそうに笑う赤松さんに、私は少し恥ずかしくなる。
なんかコレ、どういう表情したらいいのかわかんないな…。
「可愛いよ?」
「わかったって…」
くすくすと笑いながら頭を撫でられ、私は赤松さんから視線を逸らす。
っていうか、赤松さんの太もも柔らか…
パァン!
不埒な考えが頭をよぎって、私は自分を律するために頬をはたいた。
「も、森丘さん?」
「ご、ごめん。少し煩悩が」
何考えてんだ私!
さらに悪いことに、ここは親のいない家だ。疚しいことを考えたらいけない気がする!
「…別に、いいのに」
「へ?」
「煩悩があっても、いいよ?」
…。
何を言ってるんだ、この子は。
「それは、どういう意味で…」
「そのままの意味」
しばし、膝枕をされたまま見つめ合う。
少し潤んだ、赤松さんの綺麗な瞳。
「…赤松さん」
「何?」
「ちょっと、屈んで」
言いながら、赤松さんの頭に手を伸ばし、私の方に引き寄せる。
ちゅ、と軽くキスをした。
「今日はこれで我慢するよ」
「…そっか」
よく頑張った、私。
あのまま雰囲気に飲まれて、ケダモノになるところだった。
赤松さんがどんな意図で言っているのかいまいち分からないのに、手を出してはいけない気がする。
…大事にしたいのだ。
赤松さんのことは、誰よりも大切にしたい。
_赤く染った赤松さんの頬に触れて、私は愛おしげに撫でるのだった。
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