4月「クラス替えと桜」
4月。桜舞う月。
そして、変化の月だ。
…それは私達の生活も、例外ではなく。
3年生になった私達には、〝クラス替え〟という関門が待っていた。
クラス替え発表日、当日。
生徒達が群がる掲示板の前で、私は深呼吸をした。
…よし、見るぞ。
覚悟を決め、恐る恐る掲示板に近づく。
「今年は4組か…」
私の苗字は森丘だ。だからいつも、名前を探す時は下から見る。
だけど私が今、1番同じクラスになりたいと願っている人は_
_その人の名前を探し、クラス名簿を上から見ていく。
「あった…!!」
赤松さんの名前を同じクラスで見つけ、私は安心感から脱力する。
よ、よかった…。コレで、また1年一緒のクラスでいられるんだ。
高校生活最後の文化祭、合唱祭、体育祭。
彼女がいるなら、参加してもいいかなと思える。
…過去17年間のクラス替えで、自分以外の人を気にしたことなんて1度も無かった。
彼女と出会ってから、私は変化を感じてばかりだ。
始業式も終わり、帰り道。
「同じクラスでよかったね、森丘さん」
「うん」
ふわふわと笑う赤松さんに、私の心も暖かくなる。
3年生になっても、赤松さんは変わらず可愛い。
「赤松さんの名前見て、安心した」
「…私の名前、探してくれたんだ?」
いたずらっ子の笑みで言われて、私は頬が少し熱くなる。
…だけど、今日は少し私もいじわるな気分だ。
「…そうだよ?」
「え、」
「すぐに探した。誰よりも真っ先に」
誰よりもっていうか、赤松さんしか自分以外の人は確認してないけど。
「わ、私だってそうだもん…」
赤松さんが、頬を膨らませながら上目遣いでこちらを見る。
可愛いなぁ、もう。
「相思相愛だね?」
「ふふ、そうだね」
茶化してみせると、赤松さんもくすりと笑った。
_その時、ビュウ、と風が強く吹いた。
「うわ、」
「きゃっ」
風が木々を揺らして、桜の花びらを散らす。
「そろそろ、桜も終わりかなぁ」
「明日は雨みたいだから、今日で満開は見納めかもね」
そっか、と赤松さんが少し残念そうに言う。
「桜、綺麗だから勿体ないな。森丘さんは、お花見とかした?」
「…。」
宙を舞う桜の花びらをバッグに立つ赤松さんが、あまりに儚くて…。
…〝桜より、赤松さんの方が綺麗〟。
なんて、柄にもなくクサいことを考えてしまった。
「…森丘さん?」
「あ、えーっと、今年はしてないよ」
「私も。もう受験生だもんね」
今年の春休みは春期講習で忙しくて、私も赤松さんも中々会う時間が取れなかった。
「来年は、森丘さんと一緒にお花見したいな」
「…うん、私も」
「やったぁ」
嬉しそうな赤松さんの笑顔に、私は幸せ者だなと再確認する。
たかがお花見の約束で、こんなに喜んでくれる恋人がいる幸福を噛み締める。
「3年生もよろしくね、赤松さん」
「こちらこそ」
お互いに笑いあって、私達はこっそり手を繋いだ。
…大通りに出るまで、絡めあった指は解かない予定だ。
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