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(霊)駅のトイレ
学生の頃電車内で猛烈な腹痛に襲われた
朝食べた何かに当たったらしい
あまりの腹痛にその場で…とも一瞬覚悟を決めたが必死に持ちこたえ
目的地より少し手前の駅で降りてトイレにたどり着いた
汚い話で申し訳ないがそれこそ上から下からエライ騒ぎで一段落するまで暫く時間が掛かった
幸いにもその間ドアをノックされる事もなく事なきを得たが
さて、拭いてズボンを上げようか位のタイミングで誰かの視線に気付いた
視線の先を追うと個室の上、天井との隙間からオッサンが顔を出していた
「兄ちゃん、大変だったな」
それどころじゃなかったが醜態を謎のオッサンに見られていた事を知り頭に来て飛び出したら
オッサンがいると思われる所は用具入れと書いてあった
勢い良くドアを開けたが誰もいなかった
音速で物音を立てずに逃げ去る事は不可能だと悟った俺は
手洗いもソコソコにそのトイレを後にした




