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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)優しい看護師さん


一昨年の今頃、手術を要する入院を余儀なくされた


思ったより体力が削られていて少しの間車椅子を使う羽目になったのだが

陰気臭い病室で鬱々としているよりもマシだろうと車椅子で階下の売店によく行っていた


手術の痕が痛むので車椅子も必死で動かしていたら廊下で誰かが車椅子を押してくれた


見かねた看護師が手助けしてくれているのだろう、とお礼を言おうと振り向いたら誰もいない


結構な距離を押してくれていたし俺が振り返るほんの僅かな時間に視界から消えるのは不可能


不思議に思いながら買い物を済ませ自室の階まで戻るとナースステーションでこう尋ねた


「さっき車椅子を押してくれた看護師さんにお礼が言いたいんですけど…」


振り向いたらいなかったと伝えたら看護師が苦笑いした


モヤモヤしたままベッドに戻り少しすると血圧を計りにきた看護師さんが


「(俺)さん、さっき誰かに車椅子押して貰ったんだって?」


と聞いてきたので経緯を話し振り向いたら誰もいなかった事の件まで話すと


「それね、実は有名なの」


と意味深な事を言い出した


この病院には四苦八苦してる車椅子患者や歩行器を使っている患者を手助けする幽霊がいるらしい


初耳だったので更に聞こうとしたがそれ以上は長年働いているけど分からないのよ、と言われた


翌日同じ様にやっとの思いで売店迄行く途中、誰もいない空間に向かってお礼を言った


それ以降は何度か車椅子で通ったがついぞ現れなかった

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