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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)紛れてる


昔から混雑した場所が苦手だった


何故か?と言われれば「人の思念に酔うから」

少しでも勘働きが鋭い人ならあるあるじゃないだろうか?


個人的には特に初詣や混んでいる神社仏閣、パワースポットとかが苦手だ

人の欲、というか祈りなのかは分からないがそういう場所は大抵空気すら澱んでいる


これは俺がまだ子供で何で気分が悪くなるのかが分からなかった頃の話


兄貴は当時珍しかった語学留学をしていてお礼を兼ねてステイ先の友達を連れて帰国していた

俺も家族も外国人をもてなすとか初めてで頑張って日本の文化に触れさせようとしていた


時期的に丁度初詣のシーズンだったので地元でも有名な神社へ連れて行ったのだが

兄貴達の目論見は初詣よりもストリップだったらしくダシに使われた俺は映画館に放置された


館内は人気も疎らで数名の影が見て取れた位

映画の内容よりも眠気に負けてうつらうつらとしていると寝落ちしてしまった

静けさに気付いてハッと目覚めると何だか周りがおかしい

スクリーンも出入口ですら真っ暗だった


(え?いるのに終わった(閉館)の?)


と慌てて周囲を見回していると俺の席の数列前に人が座っている影がボンヤリ見えた


(良かった、人がいたんだ…)


孤独感に苛まれ不安を抱えていた俺は周囲の異常さよりも他に人がいたという事に安堵した

が、少しするとそれも異常な事だと察した


普通真っ暗なんてあり得ないし仮に停電とかの非常時だとしても黙って着席したままなんて…


恐怖心がどんどん膨らんで耐えられなくなりそうになった時


「ファッ」


と周囲が明るくなった


「えっ???」


辺りを見回すとソコは普通の館内だった


何故あんな光景を見たのかは分からない

いつの間にか何処かに紛れてしまったのか、逆に何かが紛れこんだのか

慌てて待ち合わせ場所に向かって走った

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