(霊)バックミラー
バイクの良い所は風を感じられる所だと思う
オーブンカーでも感じられるじゃないか、と言われるが全身に受ける風は一味違うのだ
十年程前、ネットで知り合ったバイクチームと途中で合流する事になった
彼等はそのまま北上しキャンプツーリング、俺は時間が合わず取り敢えず顔見せという具合だ
こちらの仕事が一段落したので早速彼等との待ち合わせ場所へとバイクを走らせる
夕方も深まった辺りで無事彼等の待つキャンプ場に辿り着いた
「お初です、○○です」「ども~」みたいな挨拶を済ませる
チーム名も格好もゴツいがとても気さくな人達で楽しく会話を弾ませた
この為に用意してくれたという料理も頂いたので帰りは結構遅くなってしまったが
次の日のアポもあり仕方なく皆に別れを告げて帰路についた
帰り道、山あいの細いくねくね道を注意して戻る
行きで気付いたのだがこの道の何処かで道路が若干崩れている
後で場所を特定して彼等に伝えれば助かるだろうと確認しつつ走っていると崩れている場所が現れる
通り過ぎてバックミラーで確認しようとした時、目を疑った
バックミラーに映っていたのは崩れた道路ではなく誰かの目だった
ビックリしてハンドルを切り損ないそうになったが冷静に車を停め改めてミラーを覗いた
「いない…」
目の錯覚だったのか何だったのかは分からない
何分暗い夜道で1人、確かめる術はなかった
街中迄戻ってコンビニに入り件の崩壊場所を彼等に伝えて帰路についた
後に聞いた噂では以前事故で亡くなった人がいたとか聞き及んだが関係しているのかも分からない