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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)ホームに立つ影


一昔前、俺が地元にいない間に近隣の駅で人身事故があった


その駅は無人駅なのだがそこで数年の間に飛び込み自殺が数件続いたらしい


周囲は多少見晴らしが良いものの近くに民家は少なくそういう決意をした人にはうってつけと思われたのだろうか


件の駅に近く且つ線路脇に済む友人によると事後処理が精神的に相当キツかったらしい


数ヶ月後、所用で帰省するとコンビニで同級と偶然再会したのだがネットで情報が出回ったのかまた駅で飛び込み自殺があったらしい


その話の勢いで駅に見に行かないか?と誘われた


丁度暇だったのでもう1人誘って行ってみたがカラスが集まってる位で何も変わりはなかった


ん?カラス?そう言えばいつもより遥かに数が多い、しかも線路上に


屋根もないホームの少し先に固まっていたカラスを追い払い近付いてみるとその理由は直ぐに分かった


敷石のあちこちに赤いモノが飛び散っている…カラス達はそれらをついばんでいたのだ


気持ち悪さに皆たじろぎ流石に線路上に降りる事はなかったが凄いモノを見たな、と口々に語りあった


電車嫌いな俺が駅を利用する事は暫くなかったのだが帰省中に乗って来たバイクが故障しやむを得ず電車で帰る事になった


一時間に数本しか通過しない田舎の駅、しかも夜の無人駅ともなると降りる人はまばらにいても乗る人は殆どいない


上下線のホームに一つしかない電灯には無数の虫が飛び交い付近は蛙の大合唱に包まれていた


手前のベンチに腰掛け電車を待っていると遥か先のホームの突端付近に人影が見えた


当然そんな場所に電車は停車しない、まさか!?と思い近寄ろうと数歩歩み寄ったが途中で止めた


何故なら近付いても輪郭がハッキリせず実体がない様に見えたからだ


帰りの電車内でずっと考えていた

彼等は死後も飛び込みを繰り返しているのだろうか?それとも何か未練があってあそこに立っているのだろうか?


答えが出ないのは百も承知だがあの光景を見てしまったら考えざるを得なかった

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