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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)霊の通り道


地元では何故か梅雨入り前の時期に花火大会を毎年開催している


小さい頃は親父の知り合いの飲み屋を拠点に花火を見るのが毎年恒例になっていた


ある年、その飲み屋が丁度改装中で近所にある割烹料理屋で花火を楽しむ事となった


いつもの様に屋台でたこ焼きやチョコバナナを買い込み、料理屋へと戻る途中で不思議な光景を見た


帰り際の右手には当時パチンコ屋があったのだがその裏手は小さい神社となっており人通りもない寂れた所だったのだが


花火大会の日とあってか数人の人影が見てとれた


駐車場を挟んだ向こう側なのでハッキリとは見えないが確かに人が歩いている


へー、珍しいな…と思っていると何か様子がおかしい


その人達はある程度間隔を開け階段を下っている様に見えていたのだが暗闇に目が慣れてくるとその足元は宙を浮いている


「え?あ‼」


人影は神社の建物の陰から続いているらしく

他にも数人が等間隔で歩いていたのだがその足取りは階段の斜面のある地点から空中を平行移動している


その行き着く先には既に廃業した旅館がある


(ぶつかる‼)


と思った瞬間、その人影達は旅館の建物の壁に吸い込まれる様に消えていった


楽しい花火大会でそんな体験をするとは思わなかったし誰に言っても理解してくれる訳もないので長年封印していた


ここで終わるのなら単なる錯覚で終わるのだがこの後数十年の時を経て疑問が確信に変わる後日談がある


月日が経ちパチンコ屋は潰れ、跡地には葬儀社出来たのだがそこに俺の知人が勤める事になったのだ


しかもあの潰れた旅館を買い取って宿泊施設にするらしい


ふと記憶が甦り


「あの旅館を?多分出ると思うから気をつけた方が良いよ」


と言ったがスルーされた


見間違いかも知れないし、と放置して暫くすると知人が宿直の社員に伝わる「噂」を持ち帰ってきた


要約すると「あの旅館は出る」だった


建物の三階部分は倉庫と宿直係が待機する場所となっているらしいが怪奇現象が耐えず宿直を露骨に嫌がる人もいるそうだ

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