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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)心◯教

専門学校に通う為上京していた時の話。


当時世間では例の教団が政界に進出する!と公言し各選挙区で活動をしていた

不幸にもアパートの近所に選挙事務所がいつの間にか出来、朝晩例の音楽と共に白装束の信者が踊っていた


朝な夕なと続くあのメロディ、「しょっこーしょっこーしょこしょこしょっこー♪」にいい加減ウンザリだったが

子供受けを狙ったのかキグルミの頭部を着けたまま踊るのが滑稽で特に気にも留めていなかった

そんなある日、軽い事件が起こる

学校の1ブロック先のビルにも心理教の事務所があったらしく昼休みに定食屋に向かう途中で友人がふざけだした

「オ○ムなんてバカみたいだよなぁ‼」

わざと聞こえる様に大声で叫んだ。勿論本人はまさか反撃など予想もしなかったのだろう

数秒後、そのビルの入り口からあの白装束の集団がダッシュで向かってきた

俺達より数メートル先で叫んでいた友人はあっという間に集団に囲まれビルの中に連れ込まれて行った


「なぁ、何かヤバいよな?」と思ったが全員アホだったので何故か分からないがスルーして定食屋に向かった

昼休みも終わり午後の授業も終わりかけの頃に拉致された友人は教室に戻ってきた

「アハハ、ヤバかったよ。それにしても皆酷いよな」

少し疲れた表情をしていたが話を聞くとこってり絞られただけだったそうで俺達は少しホッとしていた


授業も終わり帰路につき途中買い物をしてからアパートに戻った

途中選挙活動から帰って来たのか白装束軍団は事務所の前で反省会をしていた

夕食を済ませ溜まっていたレンタルビデオを一気見していたら深夜になってしまったのでベッドに潜り込んだ

当時住んでいたアパートは小路に面した1階の部屋で路面より若干床が低い為にブロック塀を少し覗けば部屋が丸見え

その為に普段からブラインドカーテンをしていたのだが街灯の光が射し込んで前を人が通れば影になって見えていた


少しまどろんでいると窓の外がやけに暗い

良く見ると人が数人部屋の前で立ち止まっているらしい

こんな時間に立ち話かな?と思ったが外から話し声は一切していない

気になって仕方ないのでそっと反対側の玄関から出て通行人を装いつつ様子を見る事にした


住宅地の人通りの絶えた小路。あの白装束が数人、俺の部屋の様子を伺っていた


(きっと昼間の一件で目をつけられたんだ)

そう咄嗟に思った俺は何食わぬ顔をして横を通り過ぎ、そのまま近くに住む友人のアパートに転がりこんだ

その日以来部屋の前に白装束軍団が現れる事はなかったが常に後ろを警戒しながら帰っていた記憶がある

それから程なくして例のサリン事件がありサティアン捜索や教祖の逮捕劇が大々的に報道された


あの時気付かずに部屋にいたら何かされていたのだろうか?と思うと今でも嫌な気分になる

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