表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
441/441

(謎)臨終間際の夢

先日、お世話になっていた知人が長患いの末息を引き取った


なかなか都合が合わず見舞いにも行けなかったのだが偶然にも亡くなった当日の午前中、時間が取れたので同じく世話になった友人と連れ立って見舞えたのがせめてもの救いだった


恩人の家族に出迎えられ彼の部屋にお邪魔させて頂くと彼は思いの外元気そうでベッドの上からではあったが笑顔で出迎えてくれた


「ご無沙汰してます」

「あー、俺君。A君。本当にご無沙汰だねぇ」


ちょっと皮肉っぽく言われて苦笑いしつつも彼はにこやかに応対してくれた


他愛ない世間話に花を咲かせそろそろお暇しようかと言う雰囲気になった辺りで彼が変な事を言い出した


「A君、そう言えば君の妹さんの怪我は大丈夫だったかい?」


ん?と思ったが俺はAの妹さんが怪我をした事など知らないのでついAの顔を見るとAはビックリした様な顔を一瞬したが直ぐに


「ご心配おかけしましたが幸い大した事にならずに済みましたよ」


と答えていたので特に何も思わず挨拶をして恩人の家を後にした


返りの車中、Aがしきりに首を傾げていたのが気になって「何だ、どうしたんだ?」と尋ねたら


「あー…いや、妹がな…数日前に後続車に追突されて怪我したんだけど…」


と妹さんが事故に遭った事を話し出した


「でもな?事故に遭った事、誰にも話してないんだよな…(恩人)さん、何処で知ったんだろう?」


と不思議がっていたので「ご家族が偶然聞いたとかじゃね?」とその場は曖昧に答えを出してそのまま流した


その日の深夜、恩人のご家族から亡くなったと連絡があり数日後に執り行われた葬儀にAと共に参列させて頂いた


ご家族に見守られて穏やかな最後だったとの事で恩人との思い出話等を話していると彼の息子さんが此方に挨拶しにやって来た


どうやら俺達が知人の中では最後に会った人間だったらしく生前の彼は俺達が帰った後も息子さんに俺達の事を色々話していたそうで

その話を聞いていて「あれ?」と思った事が幾つかあったので不躾ながら聞き返してしまった


Aの妹さんの怪我もそうだが俺の病気の事とか確か恩人は知らなかった筈で恐らく情報が届いていなかった筈なのに彼は何故か知っていた様だったからだ


その質問に恩人の息子さんは━━


「えぇ、父は「夢」で見たと言ってましたね」


それを聞いてそんな事もあるのだろうか?と疑問が湧いたが今となってはそれを確かめる術もないので不思議な事もあるもんですね、と苦笑いしつつも冥福を祈った


死期が近付き何かそういう能力に目覚めたのかな?と思う位結構な人数の様子を語っていたそうなのでもっと見舞って話をお聞きしたかったな、と思ったのは内緒だ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ