『奇憚(きたん)雑記』

(噂)追悼集会

この話は昔ヤンチャしていた先輩達から聞いた噂話

暴走族全盛の頃、あるチームの若者が事故で亡くなったそうだ

仲間達は死んでしまった彼を弔うつもりで大規模な追悼走行会を企画し、チームを越えて複数の暴走族達がその企画に参加したそうだ

街中を散々暴走し、チームメイト達はその仕上げとして彼が亡くなった場所に行き花束を添えて弔うのがこの集会のメインイベントだったらしい

集会も終わりに近付きいよいよ亡くなった交差点へと向かったのだがその交差点に差し掛かった時、脇から出てきた乗用車に複数台が曳かれて大怪我を追う事故が発生してしまった

暴走行為に加え盗難バイクや違法改造したバイクもあってぶつかった乗用車の運転手の過失はうやむやになってしまったそうだが

事故当時、その運転手の言動がかなりおかしかったそうなのだ

飲酒していた訳でもなく既往症があった訳でも居眠り運転していた訳でもない

先頭の数台が巻き込まれ逆ギレした仲間達が停車した乗用車の運転手をボコろうと車に近寄ると

運転手は白目に口元に泡を吹いたまま真っ正直をずっと見てブツブツ言っていたそうだ

勿論警察や救急車が来て大混乱となり運転手は事情を説明する為に車から降りて来たそうなのだが

その時には何ともなかった様な感じで警官とも普通に話していたそうだ

仲間達はさっき見た運転手の状態を警官に説明して何かヤバい薬でもやってたんじゃねぇのか！と食い付いたが結局何も検出される事もなく事故は人身事故で片付けられてしまったそうだ

それ以降彼らのチームは補導や逮捕等が重なってついには解散したそうだが

あの追悼集会での事故は今でも語り草として伝えられているらしい

と、聞いたが関係のない俺からすると暴走行為自体をしなきゃ良いのに、と思うだけである