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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)洗面室で

またまた某病院での体験談


悪い時期に入院していたので今回は患者さんとも看護師さんとも最小限の接触しか出来ず人生二度目の長期入院は酷く退屈なモノになってしまった


最初こそ体調最悪でヘロヘロしていたが治療が進むと元気も出て来てそれにつられて暇を持て余すのも増えていく


日中も寝たり起きたりを繰り返すから早い消灯時間の後もなかなか寝つけず本当は悪い事なんだけど持ち込んだDVDとかを見て夜更かししたりしていた


看護師さんの巡回も疎らになる深夜、向こう隣位にある洗面室から


パタタ…ダラララララ…


と水音が急に聞こえて来る

締め切れなかった蛇口から残っていた水がホーローの流し台に垂れる音は寝静まった病棟内に結構響き渡っていた


その水音は決まって深夜に聞こえていたので水道の圧の関係かな?と思っていたのだが

ある日その水音に違う音が混じっているのに気付いた


それは誰かの「えづく」声


小さくて聞き取れなかったのかも知れないが誰かが「オエッ、オエェ…」とやっている


薬の副作用とかで眠れないのかな?辛そうだなぁ…と不憫に思っていると看護師さんが定時の巡回にやって来た


全く寝る気がない俺を窘める看護師さんに「洗面室で気分悪くなってる人がいるみたいね」と聞くと


「そんな人いないわよ?」


と言われた


あれ?でもさっき確かに誰かが吐いてたけど?と言うと


「私、ソコを通って来てるんだもん誰もいなかったわよ」


と返された


そう言えばナースステーションと俺の病室の間に洗面室はあって扉もないから人がいたら当然目撃してないとおかしい訳だ


でも誰かえづいてたんだよなぁ…と複雑な顔をしていたら


「…まぁ場所が場所だからね、そういう事もあるわよ?」


とやけに意味深な事を言って看護師さんは去って行った


それから退院する迄2日に一回位誰かのえづく声は聞こえていたが追及すると怖いので聞こえないフリをして過ごして退院した

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