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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(怖)カーステレオ

若い頃、友人が身の丈に合わない高級車を中古でゲットした


早速皆で寄って集ってオーディオを改造しようと内装を剥いてスピーカーとかを交換、ただヘッドユニットは元々良い社外品がついていたので替えずにアンプとかを足して鳴らしていた


そのヘッドユニットは今では珍しくはないがHDDが搭載されていてCDとかをかけると楽曲がコピーされるタイプで

前の持ち主の趣味なのかクラブハウス的な楽曲が入っていたのでそのままにしていたそうだ


改造も終わり早速街に繰り出そう!という事になり音楽をガンガンかけながら早速飛び出した

今思うと若気の至りだがズンドコ言わせながら街中を流してコンビニで休憩

で、何に満足したのか分からないがとりあえず引き上げ様となった


どうせならちょっと夜景スポットでも見てから帰ろうと郊外にある某所へと車を向け暫く進むと

流れていた音楽の途中で「ブツッ、ブツッ」と雑音が入り入り途切れる事が数回あった


恐らく前所有者のCDが音飛びでもしていたんだろう、と気にしていなかったのだが

突然後部座席に乗っていた友人が「うわっ!?」と奇声を発した


丁度信号待ちをしていた時だったので何事か?と問い質すと

「何か女の声が入ってる!」

と騒ぎだした

雑音が入っていた辺りの楽曲は歌声無しのハウスミュージックだったのでもしかすると何度か上書きされた時に前の曲が混じってしまったんじゃないか?という話になり一応念の為にもう一度聞いてみる事に。


近くにあったコンビニに車を入れ皆で耳を澄ませて聞いてみると重低音の効いた楽曲の途中で「ブツッ、ブツッ」と音が途切れ確かに人の声みたいなモノも聞こえて来た


一回ではそれが何なのか分からなかったのでもう一度聞き直してみると「ブツッ、ブツッ」と音が途切れる手前で女性の声が確かに入っていた

ただその声が何を言っているか迄が聞こえずもう一度聞き直してみようとなった所で友人の1人が「もう止めようぜ!」と突然言い出した


急にどうしたんだよ?と聞いても何だかハッキリ理由を言わない

頑なに拒否する友人の気迫に圧されて結局その日は録音されていた曲は止めて別の音源を鳴らして帰路についた


2ヶ月程してから車の所有者である友人から連絡が入り駐車場で車上荒しに遭ったと言われた

被害は助手席の窓とヘッドユニット、中に置いてあった小物と散々だった様で俺達は彼を慰める為に飲み会を開いて元気づける事にした


居酒屋に集まって今後防犯対策をどうしようか?と話し合っていると以前ビビって録音されていた曲を止めた友人がこう切り出した


「あれ(ヘッドユニット)は盗まれて良かったのかも?」


当然持ち主は怒り俺達も何言ってんだ?コイツ?的な視線を投げ掛けたのだが彼は続けてこう言い放った

「だってあのヘッドユニットに入っていた曲、あの雑音の前に女の声で「殺す」とか聞こえてたんだぜ…」


またまたぁ‼みたいな感じで流そうとしたのだが友人は頑なに意見を曲げなかった


今、あのヘッドユニットは転売され何処かの車に取り付けられているかも知れない

ハウスミュージックの途中で雑音が入っていたらそれは友人の車から盗まれたヘッドユニットかも知れない

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