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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)ホームビデオ

20代の頃だったか、友人(A)宅に集まって酒を飲んでいた時の話


Aは当時サーフィンにどハマりしていてプロを目指す!とかいう夢を持っていて

年中あちこちの海岸へ行っては波に乗りそのフォーム(?)を砂浜で見ている彼女に撮影して貰っていた


その日もBGM代わりにAの波乗り映像が波の音と共にテレビから流れていた

ザーン…ザザーン…という波の音、時々聞こえる人の声、まともに見ていたら何かの洗脳映像かと勘違いしていただろうが

俺達は集まれば麻雀をしていたので映像は全く見てなくて波の音だけが聞こえて何だか心地良かった


「ポン」「リーチ‼」「ツモ」

波の音と混じって俺達の声が部屋に響き酒も進んで雑談も弾んでいたのだが

抜けてテレビ画面を暇そうに見ていた友人が突然大声をあげた


「おい!今っ!?」


急に大声をあげた友人に雀卓を囲んでいた俺達はビックリして麻雀を一旦止めて文句を言うと


「さっき砂浜に人の足だけが映っていた!」と大騒ぎしだした


Aも俺達も「んなバカな」と思ったがあまりにも騒ぐので麻雀を中断してビデオを巻き戻して確認する事にした


日も傾いて朱色に染まりつつある海と波間に漂うA、カメラは三脚に固定されているのか手ぶれもなくずっとAを右端に捉えている


「あっ!?」「マジか!?」


友人達は問題のシーンに釘付けになった

画面には確かに蒼白い「人の足」が丁度波打ち際に洗われる様に見えていたらしい


「らしい」と言ったのは俺には違って視えていたからだ

友人達が「怖えー!」「足だけって…」とか騒いでいたが

俺には足だけじゃなくて「全身」が視えていたのだ


ワンピース(?)の水着を着て肩口より長い濡れた髪をかきあげもせず立っている女性は何故かカメラに向かって突っ立っている様に視えた


「ヤバいんじゃねぇの?」


友人の言葉にAはビビった

もしかしたら憑いて来られていたり只でさえ水難事故に巻き込まれたりしたら洒落にならない


酒を飲みながらの麻雀大会もその時点ですっかり醒めてしまいお開きとなってしまった


後日、別の友人が「そんなのあるなら見せてくれ!」とか「その手の番組に投稿したら売れるんじゃね?」とAに詰め寄ったらしいが

その時にはもうビビりのAは必死にお炊き上げをしてくれるお寺を探しだし処分してしまっていたそうだ


その行為が良かったのかAはその後事故に遭う事もなく今は金も時間も掛かるサーフィンも止めて嫁さんの尻に敷かれている


滲んでハッキリと視えなかったが彼女は何故Aのホームビデオに映っていたのだろうか?

未練があって出演(?)したとしたら…Aは彼女に謝らないと祟られるんじゃないか?と思ったがAは元気だ

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