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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊感?)だから言ったのに!

数年前、中学の同級生が地元に戻って来た


仲の良かった友人数名と共に歓迎会みたいな飲み会を開いた時に聞いたのは

千葉の会社に就職し、家庭も持った迄は良かったが昨今の不況で会社が倒産

親の勧めもあって地元の企業に再就職する運びとなったそうだ


事情はともあれお帰り!と言う事でその日は大いに盛り上がりまた機会があれば飲もう、という事で解散した


それから1ヶ月位が過ぎて再び会おうという事になり皆で居酒屋に集合した


「あれ?お前、どうしたの?」


1ヶ月ぶりに見た友人は皆が心配する位やつれていてあからさまに元気がなかった

何故か理由を話さない友人を皆で労い酒も深くなった所で聞かされたのは…嫁さんと子供が巻き込まれたトラブルだった


親と同居して直ぐに親族の法事に行く事になった友人家族はソコで自称霊感が強い叔母さんに何故か滅茶苦茶罵られたそうだ


叔母さん曰く

「お前の嫁は前世の業が深過ぎてそれが子供達と友人に悪い影響を与え続けている!」

のだそうで。。。


他の親族達も止めたのだが一向に罵倒が収まらず友人家族は腹が立って法事を途中で抜けて帰ったそうだ


普段付き合いもない親族、という事で以降顔を合わせない事で何とか事態を収めた友人は

その日から3日とあけず自宅にまで突撃してくる叔母さんの口撃にウンザリしているそうだ


友人よりも大変なのは専業主婦として家にいる嫁さんで彼女は叔母さんの突撃と誹謗の電話を受けて気が病んで来てしまっているらしい


俺達はその叔母さんとかいうヤツを何とか引き離すか接触出来ない様にするしかないんじゃないか?というありきたりなアドバイスしか出来ず二度目の飲み会は何とも微妙な内に幕を閉じた


それから数ヶ月後、友人から再び連絡があった

三度集合した俺達に友人が告げたのは突然の別れだった


帰ったばかりだと言うのにどういう事なんだ?と皆で事情を聞くとそれはまぁ悲惨な話だった


例の叔母さんは連日電話して来て友人の嫁と子供達の誹謗中傷を繰り返し着信を拒否すると家迄突撃して罵詈雑言を言い放ち警察沙汰にまで発展


ご近所さんには白い目で見られるわあらぬ噂を流されて嫁さんがノイローゼ気味になり子供達も怯える始末

このままでは両親にも迷惑が掛かるし何よりも友人家族が崩壊してしまう迄追い詰められたそうだ


法に訴えても結局親族同士、いずれ他の親族も巻き込んでの諍いになりそうなのを危惧した友人は他県に職を探し引っ越しを決意したそうなのだ


残念ではあるが親族トラブルに俺達が不用意に介入しても余計に拗れるので三度目の飲み会は送迎会として友人を更に労った


引っ越し当日、俺達の中で都合がついた奴は友人宅の手伝いを申し出た


引っ越し作業も終盤になり皆で疲れ果てていた友人家族を励ましていると例の叔母さんが引っ越しの話を聞きつけたのか突如家に現れた


「だから言ったのよ!あんた達家族は○×△□…!」


何を言いたいのかは良く聞き取れなかったが内容的には友人の嫁さんと子供達は悪霊が憑いていて何たらかんたら…とかいう訳の分からない理屈を大声で叫びまくった


襲い掛かりそうな勢いの叔母さんを俺達が抑え込みその間に警察を呼んで連れて行って貰ったのだが


少ししてからその叔母さんの家族が土下座の勢いで謝罪しにやって来た

何でも叔母さんは以前男性にこっぴどくフラれ、その時奪った女性の面影が友人の嫁さんと似ていたそうな


というかそんなのは言い掛かりも甚だしいし一々事情を汲んでやる必要はない

お宅の娘のせいで我が家はこんな酷い目にあってるんだぞ!と友人の親が激怒すると

叔母さんの家族が引っ越し代と迷惑料として少なくない金を友人に握らせて逃げる様に去って行った


嵐みたいな叔母さん家族に友人家族は呆れたが既に離れる事を決めた友人はこれ以上彼女達に関わるのを嫌って引っ越して行った


その後叔母さんは入院し、その家族は親族の集まりの時には針の筵らしいが知った事ではない


結局本人が何故友人家族に牙を剥いたのか、何故悪霊のせいにしたのかは正確な所ははっきり分からない


友人家族は引っ越ししてから平穏を取り戻し今年新たに子供が出来たそうだ

こんな事があったのでこっちには帰らず孫の御披露目は引っ越し先に両親を呼んで行ったそうだ


何でも都合の悪い事は悪霊のせいにして他人を虐げた叔母さんをつい最近街中で見かけたので気付かれない様にスルーしたのは言う迄もない

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