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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)掃き掃除する店員

記憶が曖昧だけど恐らく免許を取って車であちこち走り回っていた頃の話


バイクから車に乗り換えて快適性を得た俺は友人達とあちこち出掛けてはバカやったりしていた


そんなある日、あれは早朝だったから多分夜遊びをしての帰りだと思う


通勤ラッシュよりも少し前だったのか車通りもそれほどなく窓を開ければ朝特有の爽やかな風が車内に吹き抜けて気持ちが良かった


眠気もあったがそこは若気の至りパワー(?)で皆ワイワイやりながら車を走らせていた


「おい、あんな所にスゲェ格好の店員がいるぜ?」


後部座席から友人が身を乗り出して指差す先には恐らくレストランなのだろうか?


そんな店の前で制服を来て掃き掃除をしている女性がいた


その制服がア○ナミラーズにフリル増し増しみたいな、ゴスロリっぽいデザインで若い俺達には刺激的だったのだ


その姿を目撃したのは店の手前100m程で初めは人形かな?と思っていたが近付く程に可愛いデザインがハッキリしていく


「おい、声掛けるか?」


誰からともなく出た言葉は勿論全員に支持された


ただ運転していた俺は何となく、何となくだが何か嫌な予感がしていた


次の交差点の信号が赤なら丁度店の前、店員の真ん前である


欲に目が眩んだ友人達の指示で少しスピードを落としわざと信号につかまる様にコントロールした


そして目論見通り信号が赤に変わり掃き掃除をしている店員に見える形で停車した


「おげぇぇぇっ!?」


声を掛けようと窓を開け身を乗り出した友人はマジでそんな声にならない悲鳴(?)をあげた


期待に胸を膨らませていた他の友人達もその店員を見て怨嗟の声を漏らしている


10代の女の子でも恥ずかしがりそうなコスチュームに身を包み一生懸命掃き掃除をしていた女性は

正面から見たらおばさんを越えたおばあちゃんだった


「出せ!出せ!」


の声に急かされる様に変わった信号に合わせてスタートダッシュした俺達の視界から店員はみるみる小さくなっていったのだった


何処か遠くに遊びに出掛けた帰りで場所もイマイチ覚えてはいないがあのフリフリの制服に身を包んだおばあちゃんの姿だけは他の記憶が曖昧になろうとも今でもハッキリ覚えている


良い笑い話というよりトラウマなのかも知れない

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