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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(動物)理不尽な祟られ方

高校時代、同じクラスの友人が急に転校する騒ぎがあった


その友人は家を行き来する位仲が良かったのでいきなり転校するなんて夢にも思っていなかった


ただ後から考えたらその「予兆」は数ヶ月前から起こっていたのにいなくなってから気付かされた


数ヶ月前、いつもの様に友人宅でダベっていると友人が変な事を言い出した


「最近壁から変な音が聞こえるんだよねぇ~」


突然何言い出したんだ?と一緒にいた友人達も首を傾げていたのだが暫くすると確かに壁の中から


カリカリ…カリカリ…


みたいな音が聞こえる


ネズミとか野生動物でも巣食ったんじゃねぇの?と意見を出しあっていると


「今週末業者に駆除頼んだみたいだから結果が出たら教えるわ」


みたいな事を言われたので皆納得して帰宅した


週明け、友人を囲んで音の原因を聞こうとしたらやけにゲンナリしている


中途半端に関わった以上、聞かないと気持ち悪いので皆が問い詰めると友人は漸く音の原因を話してくれた


「あれな、猫だったんだよ」


「猫??」


それから聞いた話は何とも気味が悪いというか胸糞の悪い話だった


旧家な友人の家は結構隙間が多く、ある日猫が天井裏に居着いてしまった

その猫が身重だったのか屋根裏で出産、理由は分からないが育児放棄?したとかで子猫のみ天井裏に取り残されたらしい


親を求めてか腹を空かせてかは分からないが子猫達は真っ暗な屋根裏を歩き回り結果壁の隙間に落ちてしまったっぽい


子猫達は必死で助けを求めたのか、壁を引っ掻き出した

それが例の音の原因だったらしい


業者が発見した時には既に死んでしまっていたらしく数匹の遺骸を回収して作業は終わったらしい


猫好きな友人と親達は残念な結果に相当落ち込んだそうでそれでゲンナリしていたらしい


「もっと早く気付いてやれてたら助けられたのにな…」


友人はその後も数日凹んだままだった


それから少しして友人が学校に来なくなった

担任に話を聞くと具合が悪いとの事で俺達は放課後見舞いに行く事にした


部屋のベッドで横になっていた友人は心なしかやつれている様に見えて心配が募ったが本人はその内治るよ、と答えていたのでそのまま帰る事にした


2日、3日と友人の休みは伸びてとうとう1週間以上になった

友人の家に電話を掛けても誰も出ない、心配なので担任に聞くも担任も同じ状況らしい


なら俺達が様子を見て来ようぜ!となってその日再び友人宅に行ってみるが留守なのか門も閉まっていて友人には会えなかった


それから1ヶ月、2ヶ月過ぎていよいよ何かあったのか?と思っていた矢先、担任は友人の転校をクラスに伝えた


え?俺達にも何も告げずに転校とかおかしくないか?

そう思った俺達は担任に詰め寄って事情を聞くと若干苦々しい顔をしながら分かる範囲を教えてくれた


例の子猫騒ぎの後、友人の行動がおかしくなっていったそうだ

その行動が人間離れしていくのを彼の両親は「狐つき」の類いだと考え加持祈祷に没頭する


学校を休んですぐに見舞いに行ったきり会う事も出来なかった俺達は知らなかったが

おかしな宗教に騙されたのか1日中太鼓の音が鳴り響く状態になり近隣住民とトラブルを引き起こしていたそうだ


結局友人の状態は改善せず何処かの施設に預けられる事となり両親は噂では宗教団体に財産を寄付してそのまま施設だかに入居したそうだ


あまりの急展開に俺達が戸惑いを隠せずにいると担任が

「まぁ関わりあいにならない方が良い事もあるな」

と微妙なフォローをしてくれた


その後納得がいかない友人の何人かは彼の行方とかを探そうとしたが学生の調べる能力なんてたかが知れていたのでそのうちに触れない感じで収まっていった


家の屋根裏に勝手に住み着いただけでなく祟るとかもし本当に猫が祟ったのなら理不尽過ぎる


本当に祟りだったのかも分からない


理屈や道理が通らない存在はやっぱり怖いと思った出来事だった

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