表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
380/441

(謎)ゴーカート

これは寂れたゴーカート場でバイトしていた友人から聞いた話


友人がバイトしていたゴーカート場は寂れた場所にあって地元民でも知らない人がいる位閑古鳥っぷりだった


俺は日銭の高さでゴルフ場のキャディのバイトをしていたので3時頃には上がれたので帰りの道すがらそのゴーカート場に寄って友人とダベって帰っていたのだが


ある日友人からこんな話を聞かされた


「あそこのカートあるだろ?あれが夜中勝手に動くんだってさ」


…んなバカな?と思って相手にもしてなかったのだがその会話にゴーカート場のオヤジが絡んで来た


「俺君、ソレ本当だから」


当時50は過ぎていたオヤジが与太話をするとは思えずなら本当に勝手に動くのか、見張ってみようぜ!となり後日予定を合わせて張り込む事になった


オヤジに断りを入れて事務所に陣取り友人・俺・もう1人3人で弁当やお菓子を買い込み張り込んでいたが一向にその気配もない


やっぱり嘘だったんじゃん!となったがこのまま帰るのも何か味気なかったので朝迄事務所で粘る事にした


林の中にあるゴーカート場は周囲に民家もなく何処からか虫の鳴き声が聞こえている


…ブルン、パンパンパンパンパン…


(えっ!?)


真っ暗なゴーカート場の一角で突然エンジンが掛かった音がした


照明も落としているので真っ暗なコースには人影すら見えないのに勝手にエンジンが掛かるのは恐怖以外の何物でもない


パンパンパン…ヴィーン…ドン…


今、外のコースで誰かがゴーカートのエンジンを掛け、確実に乗って動かした


(泥棒かイタズラか?)


俺達は怪奇現象というより犯人を見つけてやろう!という気持ちになり急いでコースの照明を点灯した


カチッ、パッ!。。。。。。

誰もいない…

でも目の前のコースには確実に1台のゴーカートが前進してコースに設置されているタイヤにぶつかって停まっている


エンジンは…既に切れていた


音に気付いてから慌てて照明を付けたので誰かの仕業なら人影は確実に見えた筈、なのに誰もいない

俺達は外に出て確認するのも恐くなって結局一歩も出れずに朝を迎えた


翌日出勤して来たオヤジにその事を話したら大笑いされた

俺達がからかわれたのか?と思って憤慨していたらオヤジが奥から監視カメラの録画映像を持ち出して見せてくれた


真っ暗で誰もいないコース、駐機場、入り口と何分割かにされた映像


しばらく見つめていると駐機場にあったゴーカートがひとりでに動いてコースに進みタイヤのバリケードに当たって止まる


「これだよ!これ!」


俺達は昨日見た光景そのままが映った映像に興奮して騒いだがオヤジは反対に冷静に口を開いた


「…今映像を見て誰か映っていたか?」


えっ?となって巻き戻しして見直したがゴーカートは勝手に動いて勝手にバリケードにぶつかって停まっていた


それ以降、友人は残業もせずに暫く務めた後ゴーカート場のバイトを辞めた


あれは一体何だったんだろうか?

オヤジが死んで閉業してしまったゴーカート場の怪異は結局謎のままだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ