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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(人)見栄の代償?

俺の知人に晩年念願のフェラーリを購入したTさんと言う人がいる


彼は幼い頃に見たスーパーカーに魂を奪われ「いつかはフェラーリ」と心に誓って節制した青春時代を送ったそうだ


そんな彼も普通に結婚して子供が出来ればいつかはフェラーリなどと言ってる訳にはいかない


親から譲り受けた為に家のローン等はなかったが教育費や生活費でドンドン目減りしていくスーパーカー貯金に夢を諦めていた


そんな彼に幸運が舞い込んだのは一昨年の春、独身のまま他界した彼の叔父が彼の夢を叶えたいと遺産相続人に彼を内緒で選んでいたそうだ


叔父の死を悼み頼まれた墓守りのノルマの変わりに手に入れた少なくはない遺産


彼は反対する家族を振り切って念願のフェラーリオーナーとなったのだった

(但し資金の関係から中古ではあった)


そんな事に金を使うなら子供達の将来に投資しろ!という嫁との確執は相当根深かった様で

彼がフェラーリを手に入れて直ぐに熟年離婚、子供達も学業を修めて一人立ちし彼の元から離れていったそうだ


そんな彼ではあるが初志貫徹したという満足感からか後悔はしないらしい


自慢気に乗り出した赤のフェラーリは塗装が剥げるんじゃないか?と思う位毎日洗車しているそうだ


ある意味そこまで突き抜けていると尊敬に値する人物だと仲間内では好評で温和な性格も相まって結構人気もある


そんなある日、別の友人から連絡が入った


「Tさんのフェラーリ、立体駐車場で亀になってるぞ」


えっ?と思ったがこちらも仕事をしていたので駆けつける訳にもいかない


結局目撃した友人からの後日談を待つ事になった


友人が地元のデパートで買い物を済ませ立体駐車場に行くと階下で騒ぎが起こっていた


危ないとは思いつつもスロープを徒歩で降りて行くと階下のスロープ出口で下腹が引っ掛かり動けなくなったTさんのフェラーリがあった、というのだ


彼のフェラーリは車高も下げられていて段差にも気を使う位だったのだが流石に立体駐車場のスロープ程度は大丈夫だろう、と突入したのが運の尽き


一階は無事だったが二階部分は角度がキツかった様で車体が接地して身動きが取れなくなってしまったそうだ


結局レッカー等を呼ぶ大騒ぎとなり店も大迷惑を被ったのだが高さ制限はかけていたものの最低車高制限はかけていなかったのでそれを突っ込んだTさんの保険会社が勝利して修理代はデパート側が負担したそうだ


目立つ事は目立ったがある意味変人扱いとなってしまったTさんは今も毎日愛車を磨き倒している


人の幸せは何処にあるか考えさせられる存在だ

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