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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)橋の上の人影

20代の頃、当時付き合っていた彼女借りていたマンションが川の近くだった


当時新中野に住んでいた俺は彼女のマンションに遊びに行く度に目の前に広がる大きな川の流れをベランダから眺めるのが好きになっていた


秋雨が続くある日、しとしとと降る雨と川面をボンヤリ眺めているとふと橋の上に佇む人影に目がいった


時刻は既に深夜一時を過ぎ車通りも殆どない中、その人影は橋の中程で身動ぎもせずずっと立って川面を眺めている


彼女を呼んで確認して貰おうとも思ったが既にベッドで寝息を立てていたので諦めた


オレンジ色の街灯に照らされ逆光になってはいるが髪の長さ、長めのスカートから恐らく女性なのは間違いない


だけど終日雨が降っていたこんな日に傘も差さずに橋の上に佇むなんて普通じゃ考えられない


とは言うものの流石にマンションから飛び出して声を掛ける訳にもいかないし通報して間違いだったら迷惑を掛けるし、と結局ずっと人影を眺めるだけしか出来なかった


佇む人影はそれから少しして薄くなったかと思ったら時計を見ようと視線を外した次の瞬間には消えていた


アクション起こさなくて良かったぁ、と思いながらもあの人影が気になって後日橋の上に確認に行ったら川面をずっと見ている女性だった


何の思いが残ってそんな場所にいるのかは残念ながら分からないが何となく寂しい表情だけが記憶に残っている


彼女はまだあの橋の上に佇んでいるのだろうか?

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