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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)忍者さん

以前曰く付きで引き取った鎧に謎のインド人女性の顔が浮かんだ、という話をしたがこれはその系統の謎シリーズ


幼稚園児の頃開花(?)した視る力は小学校に上がる頃には慣れてしまっていた


その頃俺の周りに「忍者さん」が良く出没していた


忍者と言っても時代劇とかで良く見る忍者らしい(?)忍者じゃなくて

気がつくと天井や壁、隙間とかにいて顔の部分がブラックアウトしていたので子供の俺が勝手に忍者と認定していた


忍者さんは家だけじゃなくて学校とか道端でも潜んでいてふと気付くとこっちをジッと見ていた


別に怖くもないし何かされる訳でもない、当時は霊とは何ぞや?みたいな認識しかないから見つけたら「見つけた‼」みたいな事を言って喜んでいた記憶がある


その認識が一変したのは俺が小学校2年生に上がって程なくしてからだと思う


父方の祖母が老衰で他界し、葬式をする事になったのだが小さい子供達は預ける先もなく結局ひとまとめに集められて過ごす事になった


父方の実家には同い年の従兄弟もいるし固まっていれば従兄弟の兄姉もいるから問題はないと判断したのだろう


残念ながらやんちゃ過ぎた俺と従兄弟は他の子供達の包囲網を掻い潜って近くの神社でひと遊びする事にした


と、言っても寂れた小さい神社


やる事も尽きて困っていると従兄弟が「神楽殿」に侵入してみようぜ!と誘って来た


神楽殿とは社殿の脇に建っている神楽舞いを奉納する舞台みたいな建物で二階が舞台、一階が物置みたいになっている建物だ


普段は南京錠で閉ざされているし入れる訳がないのにその日は当番が閉め忘れたのか南京錠はただぶら下がっているだけだった


中に侵入し、早速物色を始める罰当たり2人組

だがトレジャーハンターでもあるまいし中には子供心をくすぐる様な品物は皆無だった


逆に能面みたいなモノがあってビビった俺達は誤魔化す様に神楽殿を出て

たった2人でかくれんぼをしよう、と言う流れになった


じゃんけんに勝った俺は早速隠れる場所を探すが神社の敷地内限定に絞ったので隠れる場所はそれほど多くない


困った俺は社殿の隙間みたいな所に身を潜める事にした


俺の姿をあちこち探して回る従兄弟


徐々に近くにやって来てそろそろヤバいかな?と思ったその瞬間、真横に人の気配がして驚いて横を向いた


(忍者…さん?)


そこには普段間近で見た事のない忍者さんが立っていた


見知った存在にホッとしたのも束の間、俺はソコで初めて忍者さんをガッツリ見てしまった


忍者じゃない!


覆面をしているのかと思っていた彼の顔は黒い血(?)みたいなのでびっしょりだった


良く考えたら着ているモノは普通の洋服なのに何で忍者とか勘違いしていたのかも分からない


「ひーーーー‼」


見知った存在が実は全く知らない存在だと気付いた俺は怖くなって悲鳴をあげて隙間から飛び出してしまい…従兄弟に見つかってしまった


親や親戚に叱られ従兄弟や親戚の子供達には笑われて悔しい思いもしたが

本当の理由を話した所で火に油だと分かっていたので外面的には「隙間に蛇がいてビビった」事でその一件は幕を閉じた


それ以降忍者さんは出て来なくなったが暫くはいつ出てくるか?とビクビクしながら生活していた覚えがある


何で忍者と見間違えたのか?は未だに分からない

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