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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊?)モチ○チの木かよ?

高校時代、友人に連れられて山岳部の体験入部に付き合わされた


そもそも入部する気もない俺は早々に退散しようとしたのだが部の先輩達はせめて名前だけでも欲しいらしく結構しつこく勧誘された


事情を聞くと数年定員割れしていてこのままだと部活からクラブ活動に転落してしまい部費すら貰えなくなるそうだ


野郎達の泣き落としは全く聞き入れる気もなかったが友人の頼みとあれば仕方ない


じゃあ初めから幽霊部員という事で話がまとまり晴れて(?)山岳部部員としてデビューした


それ以来部室にも寄る事すらなかったのだが別のクラスになった友人がまたまた頼み込んで来た


話を聞くと秋の合宿で近くの合宿所を使いたいが人数が足りないらしい


山登りも嫌だしほぼ初対面の野郎共と泊まるのも嫌なので断ったが友人がとにかくしつこく

最後には幾つか美味しい条件を提示され結局宿泊合宿に参加する事になった


山岳部の部員達は山道を登り宿泊場所に、俺は車で送って貰い夕方に合流した


その合宿所は設備が古くキャンプ場に毛が生えた程度しかなくトイレも外に公衆便所タイプのが1つしかない


頭数として参加していた俺は泊まるだけで良いと言われて食事も山岳部部員達とは違う食堂で済ませて就寝時間となった


その日は風が強く建物がガタガタと揺れて寝付けない

その内に寝られない先輩達は俺達に山岳部伝統?登山心霊体験談みたいなのを話しだした


それに参ったのは友人だ、彼はその手の話に滅法弱い


気持ち良い位に怯える友人に先輩達は調子に乗って散々怪談を語ってさっさと寝てしまったらしい


そんな俺は途中で寝てしまって何も知らない


友人は先輩達に散々脅され布団に入ったが夜中尿意を催しトイレに行こうと思い立った


だがここのトイレは建物の外、真っ暗闇の中にある


友人は怖くて俺を起こそうと揺すったが起きないので勇気を振り絞って1人部屋を出たそうだ


虫の声が煩い屋外は電灯もなく寂しさを際立たせる


びくびくしながら漸く辿り着くと急いで男子トイレに駆け込んだ


「ギャーーーー‼」


真夜中に響く声で先輩達も俺も飛び起きた


布団に友人がいないのに気付いた俺はその事を先輩達に告げると全員で探し始めた


数分もしない内に外のトイレで倒れている友人を先輩が発見、友人は汚い話駄々漏れ状態で気絶していた


事態が事態だけに引率の先生が俺達を問い質すが寝ていてその前後の状況を説明出来ない


結局友人が目覚めるのを待って事情を聞く事になったのだった


友人曰く、彼が急いで男子トイレに駆け込むと中に女性がいてそこで気絶してしまったそうだ


その女性が生きている人なのか霊なのか、それとも元々友人の妄想なのかは分からない


結果として残ったのは友人が駄々漏れでぶっ倒れた、という事だけだった


友人はその後噂の中心になり自己弁護?の為か色々と説明をしたが誰も信じてくれず

肝心の俺も全く見ていない事から「ビビり君」として結構長く弄られる事となった


先輩達に散々脅されて幻覚を見たのかそれとも本物を見たのかは未だに分からないが

友人はその悔しさをバネに翌年の部員勧誘を必死に行い三年生の時には部長迄務めてその功績?で大学に進めたので結果オーライなのだろう

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