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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(悲惨)誰も知らない内に

最近暑くなって来ましたね


この時期になると必ず思い出してしまう悲しい話を1つ。


俺の事務所に小物を納入している業者さんがある日こんな事を言い出した


「俺さん、市内にある○工業って知ってます?」


○工業とは俺が小さい頃から営業していたプレス工場で市内でも老舗に入る所だ


「知ってるけどそれが何?」


そう返すと業者さんはこんな話を教えてくれた


業者さんは地元では結構販路が広い物入業者で様々な業態にOA機器や文具小物等を納めている


そんな得意先の1つが○工業で一月に一度か二度は御用聞きに訪れていたそうだ


○工業は羽振りの良い時期もあったが某自動車メーカーの請け負いを切られてから業績が悪化して従業員は社長と奥さんの家庭内産業迄縮小していたそうだ


そんなある日、業者さんはいつもの様に○工業の工場を訪ねたが返事がない

不思議に思って工場内に足を踏み入れるとーーー

強烈な腐敗臭と飛び交うハエの向こうに変わり果てた社長がいたそうだ


直ぐ様警察に通報して検分が始まったそうで説明によると恐らく作業中にプレス機に挟まれ身動きが取れなくなり誰にも助けを呼べないまま亡くなってしまったのだろう、という事だった


奥さんは事故の数日前に体を壊して入院したばかりで

家に残した旦那がまさかそんな事になっているとは知らず警察から悲報を聞かされ泣き叫んだそうだ


何十年も作業に従事した社長がプレス機に挟まれるとかあり得ない、と奥さんは主張したがどうやら暑い時期、水分補給を怠って脱水や熱中症にかかって倒れた事もあったそうで

もしかするとここ連日の暑さで倒れた際、誤って機械に挟まれてしまったのでは?と言われると肩を震わせたそうだ


奥さんが入院していなければ防げた事故かも知れない、水分をきちんと摂っていれば死ななくて済んだかも知れない

全て後の祭りだが奥さんは相当悔やんでいるそうだ


そんな話を聞かされても「うーん」位しか返せなかったが


挟まれた後数日は生きていて何とか脱しようともがいたらしいというのを聞いて冥福を祈らずにはいられなかった


俺が死ぬ時はポックリを希望します?

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