表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
361/441

(人)ゴルフ練習場

高校生の頃、友人の親が経営しているゴルフ練習場所謂「打ちっぱなし」に助っ人でバイトした事がある


その練習場ではバギーを改造した様なボール回収車があって球が少なくなると客が練習している途中でも回収に向かう程ソコソコ混んでいた


回収車は球が直撃しても人的被害がない様に金網でしっかりガードされている上に

アナウンスで回収車が場内を回るので打たないで下さい、と告げるので殆どの客は一旦休憩を取るのだが打ち込む輩は必ず1人や2人は確実にいた


それまで漫然と打っていた客がムキになって打ち込んできたりして結構怖い思いをしたものだった


そんなある日、回収車を出す事になりじゃんけんで負けた友人が出動する事になった


残った俺は球の洗浄機に回収した球を入れて洗いながらその様子をボンヤリ眺めていたのだが

その日はマナーの悪い客がいた様で回収車に向かって複数の球が当たっては高い金属音を立てていた


「ほれ見ろ!当たったぞ!」

「やだぁ~!すごぉ~い!」


ひときわ騒ぐ一角に目をやると何処ぞのオッサンと明らかに水商売の女性が回収車に向けて球を打ち込んで当たってははしゃいでいた


俺は注意を促す為にアナウンスを流したが一向に止めない所か水商売の女性がカウンターにやって来てクレームをつける始末だったので回収作業を止めて戻る様に無線で指示を出した


「おらっ!」カーン!

「やだぁ~!」


撤退する間もお構い無しに打ち込みまくるオッサン、それを囃し立てる水商売の女性


それが数回続いた時に事故は起こった


回収車をガードする鉄骨に当たった球が跳ね返って飛んだ先にいた他の客の顔面にヒットしてしまったのだ


悲鳴が聞こえた時には既に遅く倒れた客とその知人、そして周囲の野次馬が人だかりを作り

原因を引き起こしたオッサンは何故かその場で無罪を主張していた


カウンターにいた従業員が救急車と警察を呼び営業はその時点で中断


目撃者も多数いたので怪我人が救急車で搬送された後警官に事情を説明したりする羽目になった


加害者のオッサンと取り巻きの水商売の女性は諦めずに無罪を主張していたが

他の客もばか騒ぎをしていたオッサン達を苦々しく思っていたらしくアナウンス等で打たない様に指示されていたにも関わらず無視して打ち込んでいた結果事故に繋がったと証言した為オッサン達はそのまま警察署に連れていかれてしまった


後日事の顛末を友人に聞いたら怪我をした客はメガネに球が当たったそうでそれほど重症にはならなかったがその怪我のせいで会社を休んだり治療費が掛かった為補填を請求する事にしたそうだ


練習場も営業を停止する羽目になり本来なら損害賠償を、と息巻いたが回収車の運用に問題があると指摘され泣く泣く矛を収める事に


その後助っ人に行く事もなくなり改装して自動化が進んだせいで回収車自体が姿を消したそうだが


調子に乗って怪我人を出したオッサンは数ヶ月後には練習場になに食わぬ顔をして登場し、出禁を直接食らったそうだ


大人気ない行動の結果怪我人を出して尚訪れたオッサンの厚顔無恥さと神経には呆れた


練習場はその後業態を変え介護施設へと転換したそうだがそのオジサンは今も何処かの練習場でマナー違反を繰り返しているのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ