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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)慣習


霊というモノは何も特別な思いや怨みを残しているからなるんじゃないよな、と思った話


高校生の頃、電車で通学していた俺はある時期おかしな行動をするサラリーマンを良く見かけていた


その人は勿論(?)この世の人ではないのだが毎朝慌てた様子で改札を抜け駅の外まで出ると突然迷った様に辺りをキョロキョロしていた


初めは霊とは気付かず何とも思っていなかったのだが毎朝同じ行動をしていたのと気付いていない人がサラリーマンの体を掠って漸く霊なんだ、と気付いた


個人的な感覚だが思いや心残りが多ければ多い程鮮明に視える感じがするので(何でそんな部分に思いが?)と思ったが理由は霊能者じゃないから分からない


彼は約半年位同じ行動をしてある日突如視えなくなったが

もし本人の希望が叶うなら残された人達の前に現れて伝えたい事があった筈だ


ずっと同じ思いを強く持つ時間がありそれを抱えたまま亡くなった人達であれば怪談やオカルトで話される行動は可能かも知れないが突然死んだり意識がないまま死んだりした人達は刹那に浮かんだ場所や行動に縛られてしまうのかも知れない


これが任意で出来るのならもっと霊の世界は解明されてるのかな?


ーーー


先のサラリーマンと同様に(え?何でソコが残った?)という行動をしていたのを目撃した話をもう1つ


先月ユーザー車検を受ける為に陸運に出掛けた


コロナ騒ぎのお陰で車検の延長対象に該当していた車だったので1ヶ月程猶予はあったのだが任意保険の扱いが各所であやふやだという事を知人に聞いた為だ


事務所に入ると本来なら新年度に向けて大混雑しているカウンターも疎らとは言わない迄も相当少なかった


書類と税金を整え検査ラインに車を進めたのだが混んでいないのに数台前の受験者が慣れていないのかかなり時間が掛かっていた為大人しくスマホで時間を潰す事にした


その間全く進んでいない訳ではなくジリジリと前に進むので気配を感じたら前に視線を戻して車間を詰める


この繰り返しを何回か行い次に前の車が動いた時だった


2台前の車の前に四つん這いで地面に佇む人が視えたのだ


「危っ‼って、え?」


ノロノロと進む車に巻き込まれる様にしてその人は車体をすり抜けたのだ


結局その人は霊だった訳だがよりによって何でこんな検査ラインのど真ん中にいるのかが全く分からなかった


視えているのに通過するのはとても気分が悪い事だが車列を崩す訳にもいかず罰の悪いまま通り過ぎたが

自分がもし霊としてこの世に残るならもっとマシな所に出たいな、と思った出来事だった

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