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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)ネズミの国


子供達が幼い頃、家族サービスで某ネズミの国に連れて行った


兄夫婦と姪っ子達、俺の家族と子供達と大人数で行ったのだがある意味正解だった

とてもじゃないが子供のパワーには付いていけない、走り回る子供達に集合時間を設定して自由行動にし

俺と兄貴は園の外れの方にあるオーブンスペースの飲食店で子供達の帰りを待つ事にした


乗り物が少ないこのエリアは近くに客を乗せた船が横切る程度で時間が緩やかに流れていた

時折鳩が客の食べこぼしたモノをついばんでいる

行き過ぎる船と乗客のはしゃぐ姿を何回は

見送った後、ふと柵の近くにいた男性に目が止まった

(彼も家族の帰りを待ってるのかな?)

とぼんやり考えているとそのテーブルに若い夫婦が子供連れで近付いていった

少しDQNが入ったその夫婦はテーブルに手荷物を乱雑に放り投げると食べ物を買う為かカウンターに向かっていったのだが

ソコでこの光景が普通じゃない事に気付いた


男性はテーブルに背を向け、船の方を向いて座っていたのだが普通なら粗野な若夫婦の行動に反応する筈。

が、その男性はピクリともせず船の方を向いていた

暫くすると両手に食べ物を持った夫婦と飲み物を抱えた子供がテーブルに戻ってきた


男性が座っていた席には誰もいなかった

状況から考えて男性が席を立った事は考えられない、となると彼は…


あんな場所であの男性は何を待っていたのか、強い思いでもあったのだろうか?

同じ様に何をするでもなく船の往来を眺めていた俺も他の客から見れば同じ哀愁が漂っていたのかと思うと何故か物悲しくなった

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