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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)置き去り


※奇憚雑記に感想を頂けたyanboさんのお話で思い出した不思議体験


小学生に上がるか上がらないか、その位の頃


親戚の家で不幸があり留守番が出来る年齢でない俺は母親に連れられて一緒に葬儀に参列する事になったらしい


「らしい」と言うのは俺がその葬儀自体をよく覚えておらずその後に起こった事もすっかり忘れていたからだ


とにかく葬儀に参列する、といっても俺みたいなガキんちょを参列させる訳にもいかない

と言う訳で俺は葬儀の手伝いに来ていた近所のオバチャン達に預けられる事になった


何をして時間を潰していたのかは覚えていないが途中ですっかり飽きた俺は探検と称して近所を探索する事にした

初めて見る風景や店に釣られてどんどん歩いてしまった俺は案の定帰り道をロストする


悪い癖、と言うか恥ずかしがり屋だったのかこういう困った状況に陥っても人に聞く事が出来なかった俺は何の自信もないのに自分なりに推論を立て(たつもりで)帰り道を探し始めた


俗に言う迷子である


どの位時間が経ったのかは分からないがやっと見知った道を発見した時はもう夕陽が沈む手前だったと思う


叱られるのも覚悟で慌てて親戚の家に戻ると何かおかしい

門扉に飾られた提灯や白黒の幕、それどころか黒づくめの人達すらいなかった


(置いていかれた!)


当時の俺は親戚の家に入って確認する事も考えつかず、ただ置き去りにされたと思ってショックを受けた


置き去りにする程だから余程怒っているに違いない…何とか言い訳するには…?


少ない脳ミソで出した結論は


何とか自力で帰宅して何事もなかったかの様に振る舞う


というアホ丸出しのプランだった


因みに俺の家と親戚の家は電車の路線で言うと7つ、途中乗り換えもあり当時の俺では更に迷う事請け合いだった


幸か不幸か現金など持ち合わせている訳もなく交通機関を使って帰るという思考も持ち合わせていなかったので自力で帰宅する事にした


見知らぬ土地を歩いて帰るという無謀な試み

方角だけは勘のお陰で間違わなかった様だが案の定道には迷った


日が沈み家々からは夕飯を支度する音や話し声が聞こえていたので寂しさはなかったがこのまま夜に帰宅したらガチで叱られる!

そんな一心で休みなく歩き続けた


どの位歩いたか、俺は民家も疎らになった自販機の横で途方に暮れてしまっていた


そんな時である

1台の車が自販機の前に停まり人が降りて来た


「僕?ここで何してるの?」


確かこんな感じで聞かれたと思う

当時は不審者とか騒ぐ時代でもなく素直に理由を話すとその男性は俺を家の近く迄送ってくれた


当然家では大騒ぎ、帰って来た俺はしこたま叱られ車に乗せてくれた人物の事を聞かれたがそう言えば一切覚えていない


結局要注意悪ガキのレッテルを貼られ暫く親の監視下に置かれただけで済んだ俺はその時の事などすっかり忘れていた


迷子になるのはしょっちゅうだったし結果無事だったから笑い話で済んだものの

結局葬儀の跡すらなかった親戚の家と訳わからんガキを拾って送り届けてくれた優しい人物の謎は未だに分からない

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― 新着の感想 ―
[一言] とれさん、お久しぶりです。 私はよく子供を拾うのです。 まだ携帯電話が普及していない頃、前日の朝の十時頃家を出たらしい知的障害者の子供が自動車専用の高架道路(歩道は別にあるのですが)を歩…
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