(人)ギャップ
東京の輸入商で働いていた時の話
主に輸入菓子等を扱っていた会社で卸先には結構ディスカウントショップやリカーショップ等も多かったので開店セールの手伝いをサービスで行っていた
店名は秘匿するが千葉の鎌ヶ谷にある酒のディスカウントショップの開店セールを手伝う事になった俺は店のエプロンを借りてレジ作業等を手伝っていた
すると何故かうっすらヒゲの生えたおネエさん達に気に入られてしまい「今晩どう?」みたいな怖いお誘いをされたのだが営業スマイルで何とかやり過ごしつつレジ作業から棚出し作業に代えて貰ったりして2日程逃げ回っていた
3日目、この現場とも漸くお別れとなり内心ホッとしていると突然レジ辺りが騒がしくなった
棚出しをしていた所からレジの方を見ると如何にも、な方々が何やらイチャモンをつけている様子だった
内容は良く分からないがどうやら買った商品が不良で返金を、どころかお詫びに金銭を要求しているらしくレジの女の子は半泣きでじっと耐えているだけだった
確か社長が奥にいた筈だ…とさっきまで見かけていた方角を見てみると社長はいたが気付かないフリをしていた
このままじゃ大変だ、と妙に正義感に駆られた若気の至り全開な俺はレジに歩み寄って女の子の代わりにその人達のクレームを聞く事にした
そこから始まった彼らの罵詈雑言は凄まじくテメェじゃ話にならねぇから店長出せ!とか散々言われたが彼らは慣れているらしく決して手は出して来なかった
この手の輩は時々対応しているので下手に出つつもこれ以上突っ込むなら通報しますよ?と暗に言っていたらその意味を察したのか次第に彼らのテンションも下がりつつあった
その時である
「あらぁ!?私が目をつけている子(俺?)を何イジメてんのよぉ!」
突如場違いな裏声が聞こえたかと思ったら入り口から入って来たのは例のおヒゲが生えたおネエさん達だった
お店の出勤前なのか刺激的な出で立ちをされたおネエさん達は驚く俺と彼らの前までズカズカと進んで来るとガッ!と目の前にいる輩達と肩を組んだ
「そんなに溜まってるならお店に来なさいよ!」
とか何とか言いながら怯える彼らをきっと予想通りの腕力でそのまま店の外に連れ出してくれたのだった
そのタイミングで社長なのか客なのかが呼んだパトカーが来て店の外で一悶着あったのだが結局穏便に(?)解散となったらしい
おネエさんが現れた後は急に態度がでかくなった社長とレジにいた女の子が警官の対応をしていたので内容はどう進んだのか迄は分からなかった
俺は救ってくれたおネエさん達にお礼として身体を許す…事もなく無事手伝いを終え東京に戻ったのだった
彼女達の怒った時のギャップは輩よりも破壊力があって怖かった、という話だった…っけ??




