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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(怖?)空き家


タイトルがそもそも心霊向きっぽいが今回は霊ではなく別の恐怖を話そうと思う


俺を含めた幼馴染(プラス友人)達は年始に麻雀大会を不定期に開催している


毎年その開催場所には頭を悩ませていたのだがついにその悩みから解放された


友人の1人が駐車場として買い上げた土地にこじんまりとした一軒家が付帯しているのだ


そこは以前、おばあちゃんが一人住まいしていたのだが脳腫瘍で救急搬送されたままお亡くなりになり

処分に困っていた遺族が友人の求めに応じてこれ幸い、と住宅コミコミで譲ってくれたそうだ


とはいえ造りは安っぽいが比較的新しい住宅なので今年の初めは有り難く使わせて貰ったのだが

何故かキッチン周りの汚れが酷く良く見ると風呂場と脱衣場もキッチン程ではないが汚れていた


そこで、という訳ではないが話の流れで俺自身のリハビリを兼ねてその空き家の清掃を申し出た


業者に見積りを貰ったら亜空間な見積りを貰ったそうで友人は俺が空いた時間少しずつ清掃する事を快諾してくれた


さて、そうと決まれば早速清掃開始!と言いたい所だが酷い汚れと対峙するのに色々と掃除道具を買い揃えてようやく最近作業を開始した


先ずは問題のキッチンから、と手を付け出したのだが見かけより遥かにヤバい


モノ自体は全て処分されて設置されているのは流し台だけなのだがその引き出しの全てにゴキ○リがいた名残が残されている


過去に友人知人の汚部屋清掃を手伝った経験のある俺からすると「虫系の残滓」が一番厄介だ


孵化した残骸や糞、死骸等で汚れるだけでなく茶色い染みがなかなかキレイになってくれないのだ

しかも虫系は体躯が小さいからありとあらゆる狭い場所に汚れをこびりつかせていく


それほど苦手ではない俺はチマチマと流し台の下に堆積したゴキのゴミを片付けだしたのだがその量が異常過ぎてつい前住民(おばあちゃん)の生活習慣?を推理してしまった


話によるとおばあちゃんは脳腫瘍による発作で緊急搬送されそのまま入院→亡くなっている


倒れる前迄はいつも通り元気だった、となると冷蔵庫には普通に食べ物がストックされていた筈


ご存知の方(知らない方が幸せ)もいるとは思うが冷蔵庫内の食材を放置しておくと先ずは腐敗→何処からかウジが湧いて冷蔵庫の中がいずれ悪臭を放つ


それと同じ現象があった痕跡が冷蔵庫があったと思われる壁面や床に残っている


恐らくその匂いに釣られてゴミ王国が誕生したのだろう


話の流れを元に戻すと「怖い」と思ったのはこのキッチンの惨状ではない


一人住まいのおばあちゃんの家が「そうなる前」に何もしなかった、というより多分訪れなかった遺族達のその神経が怖いな、と思ったのだ


子供がいればきっと退院後を考慮して家の中を掃除するだろう

急逝したとは言え生活感溢れるこの家を整理しようとやって来るのは当然だろう


だがこの家の前住人にはそんな身の回りの世話をしてくれる人がいなかったのだ


更に言うなら土地を売り払う人はいたのに、だ。


それを考えると人の業の深さに怖い思いをしながら今もチマチマと掃除を行っている


目標は来年の麻雀大会迄に清々とした部屋に変えたい


虫系が苦手な人にはある意味心霊体験談よりも怖い内容だった…かな?

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