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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)寒気


20代半ばの頃、友人達と連れ立って温泉にでも行こうと言う事になった


流石に遠方では皆の都合が合わないと言う事で場所は地元の温泉地に決めたのだが要は飲んで騒げれば問題ない、と言う事で皆ワイワイやりながら現地に到着した


宿に着いて一段落し、ひとっ風呂浴びた俺達は夕飯が出てくる迄の間浴衣姿のまま温泉街を散策する事にした


とは言っても寂れた温泉街で見るモノも早々に尽き、暇を持て余した俺達は河原に足を運んだ


川岸に並ぶ旅館を下から眺めながらその雰囲気を楽しんでいるとどこからか季節外れの冷たい風が吹いてきて俺は身震いしたのだが

周りではしゃいでいた友人達は何事もなかった様子で石を投げたりしていた


「さっきの風、冷たかったなぁ」


と言ってみたものの皆はそんな風なんて吹いてないぞ?と首を傾げられた


少し遊んで宿に戻り夕飯を済ませた後は近所のスナックとかに繰り出そうとしたのだが流石寂れた温泉街

どうも中途半端な時間で店が閉まってしまうらしいのでそれなら、と最初から酒とつまみを持ち込んで部屋で酒盛りをする事にしたのだった


酒盛りも進み大浴場に入りに行く者、潰れて横になっている者、そろそろお開きかな?と思った時に

空調が効いた部屋の中に昼間河原で感じたあの冷たい風が吹いた気がした


ブルッと身震いした俺が次に感じたのは何かの気配で何気なしに部屋の扉の方に目をやると


そこには人影が立っていた


多少薄暗い玄関とは言え姿形が見えない訳がないのにその人影は真っ黒でその時初めて「憑いて」来られてしまったのに気付いた


(あ、ヤバいな…)


そう思った時扉が勢いよく開き大浴場に行っていた奴らが戻って来た


「気持ち良かったなー‼」


そんな事を言いながら部屋に入って来た友人達のせいか人影も嫌な気配も消えていた


その後復活した友人達も加わり再び飲み会が始まったがそれ以降は何事もなく済んでしまい翌日無事帰宅したのだった


もしあの時雰囲気に呑まれていたら障りがあったかも知れない


鈍感?な友人達に救われた事は本人達には言えないが内心今でも感謝している


因みにその後祟られた、とか怪我した!とか一切ない

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