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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(謎)友人①

何とか投稿出来ました

体調不良は相変わらずでまたご迷惑をおかけするかも知れませんがその際はご容赦ください


幼馴染にAという奴がいた


彼は幼い頃から体が弱く特に骨が脆いせいか何て事のない動作で骨折し、良く救急車で運ばれていた


大人になり知識が増えた今では「骨形成不全症」等の病名が思い浮かぶが当時はそんな知識もなく周りの友人達は「アイツに触れたら怪我させてしまう」という事で何となく皆から避けられていた記憶がある


そんなAの両親に頼まれて俺と数人が本人に寂しい思いをさせない様に怪我させない様に連れ立っていたのだが


ある日、他の友人達と合同で釣りをする話が持ち上がりAも連れて集合場所の小川に出向いた


俺は釣りという釣果を待つ遊びがどうも嫌いで30分程で飽きてしまったのだが

Aは人生初の釣り体験が気に入ったのか夢中になって釣糸を垂らしていた


退屈で仕方なかった俺はAの付き添いに一緒に来ていた友人達に断りを入れて先に帰る事にした


翌日、学校に行くと教室内が大騒ぎになっていた


どうやらAが釣りに夢中になり足を滑らせて転倒、骨折し運が悪い事に溺れてしまったそうだ


(え?アイツ等(付き添い)が一緒にいたのに何故?)


と友人達に問い詰めたら友人達は友人達で釣りに夢中になってしまい目を離した隙の事故だったらしい


少ししてやって来た担任が朝のホームルームでAが怪我をして暫く学校を休む事を伝えた


放課後付き添いをしていた俺達は親に断ってAの見舞いに行く事にした


俺は俺で、友人達は友人でそれぞれ謝りたいと思ったからだ


バスを乗り継ぎ病院に着いた俺達は急いでAの病室に向かったがAは思ったより元気だった


ただ骨折した場所(大腿骨)が悪くきちんと治さないと後遺症が出るという事を聞かされ

俺達はAを良く見ていなかった後悔を少なからず抱えながら帰宅した


まぁ全て見守る事は大人でも出来ないので誰にも責められた訳ではないのだがしこりが出来た関係はなかなか元に戻らず結局戻りきる前の中学半ばに彼は家の都合で転校して行った


そして時が過ぎ成人して暫く経ったある日、幼馴染の1人から急に連絡が来た


転校後、姿を見なかったAと偶然地元で出会ったから今から集合しないか?という内容だった


あの釣り(事故)以来胸にしこりを抱えていた当時の面子は良い機会だから会って謝りたいと思っていたので皆都合をつけて集まった


集合場所の居酒屋で見たAの姿は随分と元気そうだったので皆安心し

酒の勢いを借りてと言う訳じゃないがあの釣りの時、もっと見ていてやれなかった事を全員で詫びたら衝撃の事実が判明したのだ


実は彼は骨形成不全症などではなく単に虚弱体質だったそうだ

じゃあ何で骨折を?と聞いたら両親から密かに虐待を受けていたらしい


まさかあの優しそうな親御さん達がAに虐待を加えていたとは思ってもみなかった俺達は詳しい話を聞く事にしたのだった


Aの両親は所謂外面が良い人達だったそうで外では一切荒れた一面を見せなかったそうで

家に帰ると両親はAの虚弱体質を否定し、嘆いてばかりいたそうだ


そんな両親は何を思ったのかある日を境にAを虐待し、骨折させる程の暴力を加えたらしい


「折ればその部分は強くなるから」


という謎理論に取り憑かれた両親は他の親や病院にバレない方法を考えついた

叩いたりしてポキッと折るのではなくじわじわ圧迫したり曲げたりして折ると外見上は虐待した様に見えない(と思っていたらしい)


そんな虐待のピークが例の大腿骨骨折の時で流石に不審に思った医者が警察に通報

その時は何とか露見しなかったものの虐待の可能性あり、とマークされたみたいで

それからは児童相談所等が定期的にAの家を訪ねて来る様になったそうだ


中学時代の引っ越しは親の都合という意味は当たっているのだが一向に虐待を止めない両親がとうとう警察に逮捕されAは養護施設に保護された為に引っ越しという方便を使ったらしいのだ


衝撃の事実を聞いた俺達はちゃんとAを助けてやれなかった後悔が湧いて来てその事で改めて謝るとAは笑って許してくれた


逆に親が怖かったとは言え俺達に本当の事を告白出来なかった事を謝られたりもした


お互い分かり合えてその後は昔話で盛り上がって再会を終えたのだが

帰りしなにAが杖をついて歩く様を見てやりきれない気持ちが残っていたのだった


そんな彼の何回めかの命日に俺達は彼の墓参りの為に集合した


体の弱かった彼は病気で亡くなった訳ではなく事故に巻き込まれてこの世を去ったのだった


墓参りをした後の食事会ではいつもAに何かしてやれなかったのか?という心残りを皆が語る


Aが聞いていたら「そんなの子供だった皆が出来る訳ないじゃん」と笑って言いそうだが

俺達の中にその心残りがある以上きっとずっとこの話は繰り返されていくだろう


時を戻せるならせめてあの釣りの瞬間に戻ってAの親達を警察に突き出してやりたい

そんな後悔が残る苦い思い出を幼馴染達と共有している

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