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『奇憚(きたん)雑記』  作者: とれさん
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(霊)桜の木


俺が中学生位の時の話


友人宅の近くに雑木林がありソコには何故か垂れ桜が密集して植えられていた


大分後になってその桜は植木屋が客から引き取った垂れ桜を勿体ないので空き地に移し替えていたと判明したのだが


道路脇に咲き誇る見事な垂れ桜は春になるととても綺麗で季節を感じさせる秘密のスポット扱いになっていた様だ


ある日、友人宅からの帰り道自転車を漕いで垂れ桜の前を通りがかると恐らくその土地の所有者である植木屋が気を利かせたのか垂れ桜がライトアップされていた


咲き乱れる垂れ桜が下からライトアップされていて幻想的な光景だったので自転車を停め少しその景色を楽しんでいると

いつの間にか雑木林の反対側に人が立っているのに気付いた


その垂れ桜の植えられた土地は道路に挟まれた三角地でその人はどうやら反対側の道路側から桜を眺めている様に見えた


まぁ別に気にする必要もないので光に照らされた桜の花びらを再び見上げていたのだが

良く考えたらその人は桜じゃなくてこっちを見つめていた様な感じだったのを思い出して慌てて目線を下に下げてその人がいた方向を見直した


その人は既に立ち去ったのか姿はもうなく俺も首を傾げながら帰路についた


数ヶ月後、あれだけ見事だったその垂れ桜の雑木林は突然更地になってしまった


ちょっとした有名スポットだったので大騒ぎになったのだが理由を聞いて更に驚いた


その雑木林に遺体を埋めた、という事件が発生し

醜聞を嫌った植木屋が泣く泣く処理してしまったのだそうだ


遺棄事件というショッキングな出来事に友人達も周囲の大人達も結構な騒ぎになって

その事件の犯人像や被害者の年格好等の情報が飛び交った


その被害者の年格好を聞いて改めてビックリしたのは言うまでもない


どうやらあの日、ライトアップされていたのは垂れ桜だけではなかったらしい


今は更地になり暫く経ち、事件の噂も風化してしまったが


時折通りがかるとあの荘厳だった垂れ桜の美しさを今でも思い出す

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